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2012-09-17

ソース(記事原文):abcニュース

サリドマイドが致死性の肺疾患患者に有用である可能性

abcニュース(2012年9月17日)― ABCニュース医療部門チャンダニ・パテル(CHANDANI PATEL)著

ダイアン・ゴートニー(Diane Gwartney)さんは、目覚めている間ずっと咳衝動と闘っていた。

英語教師を辞した72歳のゴートニーさんは「一日中、肋骨が痛くなるまで咳をすることを想像してみてほしい。咳をしながら授業を進めようとするのは困難であり気まずくもある」と話す。

62歳の実業家ウィリアム・チェインバース(William Chambers)さんも、激しい咳をわずらっていた。彼の咳は大変厄介なもので「自分があまり話さなくても済むようにスケジュール調整したり……夕食の会話でさえ気まずくなる」と振り返る。

ゴートニーさんとチェインバースさんは、自分の咳を長引く気管支炎の症状だと考えていたが、その後の詳細な検査で特発性肺線維症(IPF)に起因するものであることが示された。特発性肺線維症により毎年推定4万人が死亡しており、乳癌にほぼ匹敵する多さである。

今回、ジョンズホプキンス大学医学部(Johns Hopkins University School of Medicine)による新たな研究で、悪名高きサリドマイドが、特発性肺線維症(IPF)患者における生存期間の改善に重要となる可能性が示唆された。

サリドマイドは1950年代にドイツを本拠とするグリューネンタール(Gruenenthal GmbH)社により妊娠中早朝嘔吐(つわり)の治療薬として発売されたもので、世界中で10万例以上の先天的欠損症例(悲惨な症例が高頻度に発生)に関連した。多くの子供が四肢・骨・内部臓器の形成不良で生まれた。

サリドマイドは1961年にようやく回収された。最近になって(2012年8月末)、グリューネンタール社はその有害作用に対する謝罪を行った。

一方、サリドマイドが半世紀以上も前に医療現場から回収されて以来、多発性骨髄腫、ハンセン病、およびクローン病などの広範な疾患に対する治療薬となりうるとして医師らに注目されてきている。

ジョンズホプキンス大学が実施した小規模試験は、アナルズ・オブ・インターナル・メディシン(医学誌Annals of Internal Medicine)に掲載されたもので、サリドマイドが特発性肺線維症(IPF)患者における生存期間の改善に有効となりうることを示唆している。IPF患者群では治療上の朗報が比較的不足している。

特発性肺線維症(IPF)は、40歳過ぎの人に発症する致死的となりがちな進行性肺疾患であり、正常な肺が徐々に硬くなり始め、時間経過とともに瘢痕化(すなわち繊維化)する。現在のところ原因は分からず、肺移植以外に治癒方法はない。診断後の平均生存期間は3~5年であり、患者の最大80%が体力を消耗させる咳を経験している。

サリドマイドは疾患自体を治療するとは思われないが、比較にならないほど我慢できる状態にするものと考えられる。

ゴートニーさんとチェインバースさんは、ある程度の緩和が得られることを期待してジョンズホプキンス大学の試験に参加した。サリドマイドまたはプラセボを3ヵ月間投与された特発性肺線維症(IPF)患者20人(2名を含む)は、症状と生活の質(QOL)を報告するよう求められた。

次に、全患者はサリドマイドからプラセボへ、もしくはプラセボからサリマイドへ切り替えられ、さらに3ヵ月間投与され、投与後の状態を報告するよう求められた。

サリマイド投与群における咳の発生頻度は平均約63%低下したことが同研究者らによって明らかにされた。患者の生活の質(すなわち日常活動能力)は約20%改善した。

本研究の主著者でジョンズホプキンス大学医学部医学准教授モーリン・ホートン(Maureen Horton)博士は「本試験の素晴らしい点は、目覚しいデータが得られたことと、特発性肺線維症(IPF)患者における効果的な結果を示す最初の(サリマイド)試験ということである」と語った。「特発性肺線維症(IPF)にはどの観点から見ても治療法がないということを考慮すると、患者の生活を向上させられるものの獲得は好ましいことである」とも述べた。

ホートン氏によれば、被験者は悪名高きサルマイドを投与されると聞いたとき、「最初はショックを受けていた」という。しかし、治療後ゴートニーさんとチェインバースさんは、びっくりするほどの改善であったと報告している。

ゴートニーさんは「サリドマイドが疾患過程にみられる咳を止めた」と話す。「症状の治療に関する限り、同剤は救いの手となっている」という。

チェインバースさんも同じ意見で、彼の場合、同剤により咳が最大90%減少したとしている。

「専門的知識にかなう生活をする能力と自信がもっと付いた。サリドマイドは私にとって天の賜物であり、私は同剤に感謝している」と続けた。

一方、サリドマイドにはリスクがつきものである。便秘や、倦怠感、めまいなどの比較的軽度の副作用のほか、四肢の刺痛とも関連している。さらに重要なのは、妊娠可能年齢の女性が使用した場合、サリマイドは今でも先天的欠損症の脅威となる。

本試験では全患者が50歳を過ぎており、出産予定者はいなかった。それでも、チェインバースさんによれば、製薬会社によって月1回の面接が実施され、妊婦または出産可能な女性に同剤を投与してないことを確認されたという。

チェインバースさんは「サリマイドを敬遠する人にはいろいろな理由がある」としている。

シカゴ大学医療センター(University of Chicago Medical Center)感染症部門の研究員ミカ・ビハッティ(Micah Bhatti)博士は「治療選択肢が尽きれば患者によるサリドマイド使用は受け入れられ易くなると考えたほか、既知の副作用については率直で開かれた話し合いが存在する」としている。

ゴートニーさんとチェインバースさんを含む被験者全員が、潜在的リスクがあるにもかかわらず、試験終了後もサリマイドを続けることを望んだ。2人とも投与して既に2年近くなる。

実際に病気の治療を目的とした新たな治療法には時間がかかりすぎ自分には役立たないとゴートニーさんは感じているという。病気は進行し続けているとも述べた。

「ただし、それはサリドマイドのせいではない」としており、「サリマイドを投与することで少なくとも毎日どうにか生きていける」と続けた。


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