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2013-06-17

ソース(記事原文):メドページ・トゥデイ

スタチンは1型糖尿病の子どもにも有効

メドページ・トゥデイ(2013年6月17日)― メドページ・トゥデイ、シニアスタッフライター、トッド・ニール(Todd Neale)著

F.ペリー・ウィルソンMD, MSCE(F. Perry Wilson, MD, MSCE);ペンシルベニア大学ペレルマン医学大学院医学講師、およびドロシー・カプトMA, BSN, RN,ナース(Dorothy Caputo, MA, BSN, RN, Nurse)によるレビュー

【サンフランシスコ】―1型糖尿病でLDLコレステロール高値の小児および青少年を対象とした小規模な無作為化試験において、スタチン療法は6カ月にわたり有効かつ安全であった。

フロリダ州ジャクソンビルにあるヌムール小児クリニック(Nemours Children's Clinic)のホセ・アティリオ・カナスMD(Jose Atilio Canas, MD)によると、アトルバスタチンによる6カ月の治療終了後、平均の非HDLコレステロール値はおよそ250 mg/Lから180 mg/Lに低下した。一方、プラセボ群では値がやや上昇したため、結果として群間差は有意であったという(P=0.028)。

同様に、アトルバスタチンはアテローム誘発性の各種リポ蛋白サブクラス粒子の濃度も有意に低下させたと、同氏は米国内分泌学会議(Endocrine Society meeting)で報告した。

治療は忍容性が良好であり、2群の有害事象発生率に大差はなく、筋骨格系の問題はほとんどみられなかった。

「こうした数値変化が将来(の心血管疾患)にどんな影響を与えるか、その特徴を明らかにするには長期の前向き追跡調査が優れていると考えられます」。カナス氏はそう話し、この患者集団を対象とするそのほかの研究では、炎症マーカー、糖化測定、アテローム性プラーク形成、血管堅さについての変化を調査中である、と続けた。

「そのため私たちは、皆さんに、1型糖尿病と早期(の心血管疾患)の関係についてさらなる洞察を与えられればと思っています」。

カナス氏によると、1型糖尿病の患者では心血管疾患の発症が小児期に始まり、一般集団と比べて若い時に顕在化してくる。さらに、この患者集団は以前よりも生存が改善されて慢性合併症も減っているにもかかわらず、心血管疾患の割合が増加しているという。

米国糖尿病学会(American Diabetes Association)は、糖尿病の子どもに心血管疾患の家族歴がなければ10歳から、あれば2歳から、脂質異常症のスクリーニングを始めるよう勧めている。

ガイドラインによれば、高コレステロール値を下げるには食事と生活習慣への介入が最初の選択肢となるが、それらがうまくいかない場合、LDLコレステロール値が160 mg/dL以上(心血管系の危険因子が少なくとも1つあるなら130 mg/dL以上)のままであれば薬物療法を考慮する。ただしこの推奨は、専門家らの一致した意見に基づくものであり、無作為化試験のエビデンスによって裏付けられているわけではない。

今回の試験では、10歳から18歳(平均年齢15歳)の1型糖尿病患者を対象にスタチン療法の有効性と安全性を調べた。患者らは、試験の1年以上前に1型糖尿病と診断されており、グリコヘモグロビン(HbA1c)値が10%未満、インスリン療法を安定して継続しておりその他の薬剤の使用なし、BMIが95パーセンタイル以下、さらにLDLコレステロール値が100 mg/dL以上であった。

研究者らはまず89名を登録して、3カ月間、コレステロールと飽和脂肪の摂取を減らす目的で全員に栄養学的介入を行った。

3カ月後もLDLコレステロール値が100 mg/dL以上の42名を、アトルバスタチン群とプラセボ群のいずれかに無作為に割り付けた。ベースラインの患者特性は大半がよくマッチしていたが、プラセボ群でHbA1c値が有意に高く(9.1%対7.9%、P<0.05)、インスリン感受性スコアが低かった(7.2対8.8、P<0.05)。

治療期間中の最初の3カ月でアトルバスタチン群にHbA1c値の上昇がみられたが、6カ月の治療期間が終了する頃には、両群間に差はみられなかった。

イオン移動度アッセイで各種リポ蛋白(small VLDL(粒子径が小さい)、medium VLDL(粒子径が中程度)、LDL-L1、アポリポ蛋白B)を測定したところ、アトルバスタチンによってそれらの濃度が有意に低下していた(すべてP<0.05)。

この研究で測定した各種リポ蛋白の濃度は、血糖検査の各種項目と相関していなかった。

安全性に関しては、プラセボ群で39件、アトルバスタチン群で23件の有害事象があった。1件だけ重篤な有害事象が発生したものの、治療との関連はなかった(少女が落馬)。

本研究はヌムール研究プログラム(Nemours Research Programs)の支援を受けて行われ、またクエスト・ダイアグノスティックス(Quest Diagnostics)から助成金支援、ファイザー(Pfizer)から薬剤供給を受けた。

カナス氏と共同研究者らは、ファイザー、クエスト・ダイアグノスティックス、メドトロニック・ミニメド(Medtronic's Minimed)、メルク(Merck)、アストラゼネカ(AstraZeneca)からの助成金支援および薬剤供給合意を報告した。研究者1名は、本研究で用いたアッセイを行うクエスト・ダイアグノスティックスの従業員である。


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