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2013-03-12

ソース(記事原文):ニュース・メディカル

高用量ロスバスタチンで急性冠症候群患者の造影剤誘発急性腎障害が減少

ニュース・メディカル(2013年3月12日)― 急性冠症候群(ACS)患者が冠動脈造影検査を受けた後、造影剤が原因の急性腎障害が起こることがある。第62回米国心臓学会議年次総会(American College of Cardiology's 62nd Annual Scientific Session)で本日3月12日に発表された研究によると、ある人気のコレステロール降下薬を高用量で使用することで、この急性腎障害の発生率が有意に低下した。造影検査で使われる造影剤に関係した腎障害について、ACS患者はそのリスクが高い。

各種スタチンを検討した複数の先行研究によって、血管形成術の実施前に患者にスタチンを投与すると腎保護の効果があることが証明されている。ACSおよび急性腎障害の発症には炎症が関与していることから、今回の第IV相試験にはロスバスタチンが選ばれた。この薬には抗炎症作用があり、有害な心イベントを防ぐ臨床効果が報告されている。欧米のガイドラインでは、すべてのACS患者に対し、そのコレステロール値に関わらず入院後1~4日以内のスタチン使用を推奨している。

計504名の患者が、スタチン群または対照群のいずれかに無作為に割り付けられた。どの患者も試験前にスタチンを服用しておらず、全員が血管形成術の実施目的で診断的血管造影を予定していた。また患者らは造影のためイオジキサノールの投与を受け、全員が心臓発作リスクの高い非ST上昇型急性冠症候群であった。スタチン群の患者には、冠疾患集中治療室に入り次第ロスバスタチン40 mgを単回投与し、その後は退院まで1日1回20 mgを投与、退院後はクレアチニンクリアランス値に基づく腎機能評価によって20 mg/日または10 mg/日を継続投与した。対照群の患者には、退院後にアトルバスタチン40 mg/日を投与したが、退院前のスタチン投与はなかった。

主要評価項目は造影剤誘発急性腎障害で、72時間以内にクレアチニン値が0.5 mg/dl以上またはベースラインより25%以上上昇と定義された。この主要評価項目に関するスタチン群の結果は、有意に優れていた(6.7%対15.1%)。そのほかの腎障害に関する定義でもロスバスタチンは同等の効果を示し、「48時間以内にベースラインより0.3 mg/dl以上のクレアチニン上昇」では3.6%対8.7%、「72時間以内にベースラインより0.3 mg/dl以上のクレアチニン上昇」では4.4%対10.7%であった。

「スタチン事前投与の有益な影響は、すべてのサブグループで一貫していました。特にクレアチニンクリアランスが60 ml/min未満という腎機能障害の患者グループでは、腎障害発生率は対照群の20.9%に対し8.6%でした」イタリア、プラトのミセリコルディア・エ・ドルチェ病院(Misericordia e Dolce Hospital)循環器科(Division of Cardiology)の臨床・介入心臓専門医で、この試験の責任医師でもあるアンナ・トーゾMD(Anna Toso, MD)はそう話した。

彼女の指摘によれば、血管造影検査を受けるACS患者の数は増加しており、またそうした患者の中には高齢でリスク因子が多い人たちも含まれている。造影剤投与から30日後までの有害な臨床イベント(死亡、透析、心臓発作、脳卒中、持続性腎障害)に関しても、スタチン群は優れた結果を示し、その累積発生率は対照群の7.9%に対し3.9%であった。

「今回の研究により、ACS患者に対する高用量スタチンの早期投与は、造影剤による腎障害の予防効果があると分かります」と、トーゾ博士は話した。「この結果から、スタチンの早期投与のタイミングをより適切に決めることができます。腎合併症を減らして臨床効果を得るため、スタチン投与は入院後できる限り迅速に、そして血管造影検査の前には常に実施し、退院前でも継続すべきです。」

この研究は、大規模なPRATO-ACS臨床プロジェクトの一環として行われている。PRATO-ACSでは、造影剤誘発急性腎障害をはじめとする複数の検討事項について、ロスバスタチンの当初の開発目的(つまりコレステロールの低下)以外にこの薬が持つ多面的な作用を調べる。

「脂溶性スタチンと水溶性スタチンの効果の比較も興味深いものとなるでしょう。私たちは今、PRATO-ACS 2プロジェクトを計画しています。このプロジェクトでは、早期侵襲的治療を予定しておりスタチン投与歴のないACS患者に対し、入院時に投与する高用量ロスバスタチン(水溶性)と高用量アトルバスタチン(脂溶性)の直接比較を行います」トーゾ博士はそう話した。


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