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2014-04-08

ソース(記事原文):キャンサー・マンスリー

アルコール依存症治療薬がマウスの中皮腫を縮小

キャンサー・マンスリー(2014年4月8日) ― アルコール依存症の治療薬として米国食品医薬品局(FDA)に認可された薬剤が、悪性胸膜中皮腫(従来の治療法に反応しないことの多い浸潤性肺癌)を抑制する可能性があるとみられる。

ジスルフィラム(商品名アンタビュース)は、アセトアルデヒド脱水素酵素を阻害することにより体内のアルコールの代謝過程を遮断する。癌患者は銅の血清濃度が高いことが多く、ジスルフィラムの銅結合能が、抗腫瘍作用を与えるだけでなく、癌細胞を化学療法が効きやすい状態にする能力を付与する可能性のあることが、いくつかの研究で示唆されている。

新たな中皮腫試験で、デトロイトのウェイン州立大学(Wayne State University)医学部の癌研究者らを中心とするチームが、ヒト中皮腫を発症させたマウスと、実験室レベルでのヒト中皮腫細胞に対して、銅錯体ジスルフィラム(DSF-Cu)を投与した。体重1kgあたり50 mg/日を注射したところ、悪性胸膜中皮腫の増殖がマウスで抑制されたほか、試験管の中でも細胞を破壊するポトーシス(プログラム細胞死)が誘発された。

新たな研究結果をまとめた抄録で、主著者ビノ・チェリアン(Vino Cheriyan)博士は「遺伝子配列に基づく解析で、銅錯体ジスルフィラム(DSF-Cu)が、細胞増殖および転移亢進遺伝子を阻害することが明らかにされた」と報告している。また、DSF-Cuは、特定の細胞周期阻害剤を発現増加させたり、中皮腫の転移・予後不良に関連する糖タンパク質ポドプラニンに作用したりすることにより、中皮腫の細胞増殖および細胞生存を阻害するように思われたとしている。閲覧自由な米科学誌「プロス・ワン(PLoS One)」オンライン版で、チェリアン(Cheriyan)氏は「生体内での試験と共に、この解析は抗悪性胸膜中皮腫薬としてのジスルフィラムの可能性を裏付けている」と結論付けた。

ジスルフィラムは1920年代に発見され、慢性アルコール症の治療薬として支持されているほか、複数種類の癌、コカイン依存症、HIV感染症に対する治療薬としても検討されている。

胸膜中皮腫は、肺周囲の胸膜から発症し始める悪性の癌である。これに対し、アスベスト誘発性の癌は非常に稀であるが、死亡率が高いことから、世界中で集中的癌研究の対象となっている。米国では毎年約2,500人が中皮腫と診断され、大半の症例は、患者が危険な作業環境でうっかりアスベストへ曝露してしまったことによる。

出典: ビノ・チェリアン(Vino Cheriyan)博士による「ジスルフィラムはアポトーシスの誘発などを介して悪性胸膜中皮腫の細胞増殖を抑制する」 (プロス・ワン誌2014年4月1日号)


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