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2016-01-28

ソース(記事原文):MedPage Today'

子供のSSRIS使用:思った以上に高いリスク?

【MedPage Today'】(2016年1月28日)

抗うつ薬は自殺企図や自殺念慮と関係しており、特に子供や青年に多い。またその害はとてつもなく過小評価されていることが、以前に行なわれた規制薬物の無作為試験のメタ分析によりわかった。

このメタ分析は製薬会社のウエブサイトの報告と同様に臨床報告に基づいており、患者の死亡はほとんどすべて記入されているが、自殺念慮に関する情報が脱落している。従って、報告の食い違いや初期研究の意図の限度によりこの研究は制限されている。

デンマークにあるコペンハーゲン大学のタラン・シャルマ博士とその同僚は、70の無作為化された二重盲検プラセボ試験を調べ、抗うつ薬を使用している子供や若者はプラセボ使用者と比較して自殺傾向リスクが倍であることを発見した。

介入群の子どもおよび若者においても、攻撃性や静座不能、もしくはビックリするような感覚を伴う傾向があった患者は約2倍であった。

BMJ(英国医師学会誌)で発表されたこのメタ分析では、成人においてはこれらの結果について顕著な増加はみられなかった。

シャルマ博士のグループは、臨床試験報告の質には大きなばらつきがあることを報告した。研究プロトコルへのアクセスは44の試験において可能であったが、残りは研究の概要だけにしかアクセスできなかった。また27の試験では簡略化された医療概略報告しかなかった。加えて、製薬会社は虚偽の可能性のあるデータを含む、3つの試験におけるデータの有効性に関する問題を記載していた。

この研究には加わっていないが、バーリントンにあるバーモント大学のデビッド・ファスラー博士は、不完全データや矛盾した測定、著者たちが制限とみなした事項によって直面したこの問題は注目に値する、と語った。

「私は、抗うつ剤に関係する潜在的リスクに関するより正確で信頼のおける分析には、それぞれの試験に参加した被験者たちの匿名情報へのアクセスが必要である、という彼らの結論に同意します」と、彼はメッドページ・トゥデイ(MedPage Today)へのEメールに書いている。「残念なことに、現在の報告も有効性に関するデータが不足している。この理由により、臨床診療に対して重要な影響を与えることができないのであろう」。

研究結果

自殺傾向および死亡率は主要転帰である。子供および若者の自殺イベントのリスクは倍以上であるが、成人ではこのことは有意ではない。さらに子供や若者は、自殺企図のリスク上昇にも有意でないリスク上昇を示した。

全体として155の自殺傾向イベントがあり、うち13件は無作為化前、そして虚偽センターからは1件もなかった。自殺者は6人で、5人は治療開始後に発生した。これらのうち2人は介入群、2人は偽薬群、そして1人はイミプラミン(トラファニル)服用グループで起こった。

治療中に自殺を試みた人は62人おり、うち40人が治験薬を服用していた。明らかに自殺企図ではあるが、研究の著者たちは27の自殺イベントを「感情的不利益」または「悪化性うつ」とコード化した。同じような結果が、自殺念慮を調査している際にみられた。実際、63の自殺念慮のイベントのうち32は不適切にコード化されていた。治験薬で認められた自殺念慮のイベントは34あった。

死亡率の調査では、この試験中に死亡した人は13名おり、9名が薬を服用していた。4件の死亡は、治験薬を支持する製薬会社により事実を曲げられている、と研究著者たちは述べている。これらは「研究後イベント」とコード化されていた。

イギリスにあるロンドン大学のジョアンナ・モンクリーフ博士による付随論説では、これらの抗うつ薬にまつわる誤判別、虚偽表示および重大な害の過小報告に関する懸念事項に言及していた。

「抗うつ薬は広く使用されているにもかかわらず、うつにおいては偽薬よりもほんのわずか効果が優れているに過ぎません」と彼女は記述している。「世界的な臨床的改善の基準では、この相異は臨床的に関係があるわけでも、検出できるわけでもないと示唆しています」。

攻撃的行動

二次転帰は、攻撃性および静座不能を調査した。シャルマおよび彼の同僚たちは、第一次報告で小児科センターの虚偽データが含まれていたという事実を引き合いに出しながらも、治験薬を使用した患者において62件の攻撃的行動を報告している。しかし、例えそのデータが排除されたとしても、子供および若者には攻撃的行動リスクの上昇がみられる。

静座不能についても同様の結果が観察されており、発生した30件のイベントのうち22人は治験薬使用者である。しかし再び、静座不能が易刺激性や興奮、神経質に分類されるというコードエラーが報告にみられる。従って、静座不能の発生については少なく見積もられていると思われる。

調査した70の試験のうち、28件はセルトラリン(ゾロフト)、23件はデュロキセチン(シンバルタ)、8件はそれぞれパロキセチン(パキシル)、ベンラファキシン(エフェクサー)、そして3件がフルオキセチン(プロザック)であった。試験の63%は自殺リスクのある患者を排除したが、23%では自殺リスクは排除要因にはなっておらず、また14%では自作リスクは不明であった。試験の大多数(86%)において、期間内に4-14日(中央値7日)の偽薬服用期間があった。

臨床試験報告の質を含む制限以外に、これらの報告中で抗うつ薬による害が評価されたときのバイアス評価ツールの標準リスクが不適当であった、と著者たちは述べている。なぜなら大部分の試験では自殺患者は排除されており、自殺傾向は実際には低く見積もられている可能性があるからである。

抗うつ剤による潜在的な害に関する適切な研究を行なうためには、さらなる調査だけでなく、試験のオリジナルデータにアクセスできるようにすることをモンクリーフ博士は要求している。

「抗うつ薬を適切に評価するために私たちがしなくてはいけないことは…急性治療や長期使用、使用中止に続いて抗うつ薬が引き起こす行動、感情、そして肉体の変化のすべてを分類する研究です」と彼女は記している。


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