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2009-09-18

ソース(記事原文):ABCニュース・ヘルス

小児脳卒中が起こる可能性は、考えられていたよりも高い

著者:ラダ・チタレ
ABCニュースメディカルユニット

2009年9月18日

どこからどうみてもブレンドン・スピアは健康な新生児だった。しかし、彼の身体の動きにみられるわずかな異常を見た時、ブレンドンの母ジェシカ・スピアは、息子が本当に健康体なのか疑念を持ったのである。

「生後2週目、ブレンドンは右側に顔を向くことができなかった。生後2カ月目、ブレンドンは、明らかに左手だけを使っていた」とスピア氏は述べた。「13か月目には歩き始めたのだけれど、右足が左足についてこなくて転んでしまう。歩くときは円を描くように歩いていた」

スピアさん(セント・ルイス在住)は、ブレンドンに何度か健康診断を受けさせた後、ブレンドンが生後19カ月の時に神経内科に連れて行き、ようやく脳のスキャンを受けさせることができた。そこでスピア氏はブレンドンが神経筋疾患である脳性麻痺であることを知ったのである。母親の胎内にいた時に患った脳卒中が原因であった。

「とてもショックでした。その理由は、第1に、子供に脳卒中が起こるとは聞いたことが無く、第2にこの診断が下されるまでに長い時間がかかったからです」

「なぜ、誰かがもっと早く教えてくれなかったの?と思いました。生後6カ月目に、この診断結果が得られていれば、脳性麻痺患者のためのセラピーの受講を拒否されることはありませんでした。1人の親として孤独感を味わった瞬間でした」

子供に脳卒中が起こるケースは稀だが、全く無いわけではない

小児が脳卒中に罹るケースは稀だが、子供や十代の若者が脳卒中に罹るリスクは、以前に考えられていたよりも2倍から4倍大きい、と脳卒中:ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・ハート・アソシエーションのオンライン版に掲載された新たな研究結果にある。

過去に算出されたアメリカ合衆国内の小児脳卒中が起こる割合は、小児100,000人当たり0.54ケースから1.2ケースであったのだが、サンフランシスコ州のカリフォルニア大学の研究者が、カリフォルニア州内にある小児科病院の230万人の記録を分析したところ、小児が脳卒中を患う割合は100,000人当たり2.4ケースであった。

この小児脳卒中の割合の差違は、医療記録作成時のタイピングエラー等に起因するものであると研究者はみている。

「“子供だから脳卒中だとは思わなかった”と、どれ程多くの人々が言ったことだろうか」とイアン・バトラー博士は述べた。バトラー博士は、ヒューストン市のテキサス大学メディカルスクール小児・青年期の神経内科学部部長である。

ビネット・ハリスさんによると、今年の夏にハリスさんの15歳の息子ポール・メイクルさんが、ろれつが回らなく、左目の瞼が垂れ下がった状態で救急室に運び込まれた時、医師は驚いていたという。ポール・メイクルさんは、サッカー、野球、そして陸上競技が好きな、活発な青年であった。

脳卒中は、年齢に関わらず誰にでも起こる

「彼はまだ若かったのですが、全ての症状が脳卒中である事を示していました」とハリスさんは言った。「その病院の子供や青年の脳卒中治療の実績は乏しく、治療の選択肢も限られていました。ですから病院側は、成人の脳卒中治療法を提案してきました。しかし、それに伴うリスクを認識したうえでの提案です」

スキャンにより、メイクルさん(以前から心肥大を患っており、そのためペースメーカーを装着していた)の脳の右側に流れる2つの静脈の根元に血栓があることが分かった。この血栓が、左目の異常の原因であった。血栓を融解する薬が、メイクルさんに投与された。

「この薬が投与された後、彼の腕が動くようになりました。まるで自分の息子が初めて歩く瞬間を再び見ているような感覚でした」とハリスさんは述べた。「その日の夕方には、手足の機能は完全に回復しました。現在は、脳卒中による身体的な後遺症はみられません」

メイクルさんは、脳卒中から完全に回復した。しかし脳卒中に罹った子供の多くは、残りの人生をその後遺症と共に歩んでいくのである。後遺症に悩む子供達には、再び脳卒中が起こる危険性や発作障害が起こる危険性がある。更に、脳性麻痺に代表される発達障害は、患者の認知能力や手足の運動機能を損なう恐れもある。これらの障害は、理学療法、作業療法、そして言語療法を生涯にわたって必要とするのである。

脳卒中の小児患者には早期療法が効果的

「子供の脳がまだ柔らかい内に治療が受けられれば、脳内で神経結合が起こることはありえます」とエバンス市在住のメリー・ケイ・バラジオテスさんは述べた。バラジオテスさんの娘ミシェルさんは、母親のお腹の中にいるときに脳卒中を患った。2番目の三半期中のことである。「何が腹立たしいかというと、胎内にいた時に脳卒中を患った赤ちゃんが生後6カ月から2歳になる頃に、その赤ちゃんが胎児である時に脳卒中を患ったと診断されるんです。その頃には、脳内で新たに神経結合が起こる機会は既に失われてしまっています」

ミシェルは現在11歳である。彼女は、生後6カ月目から作業療法を受けている。今までに、再び脳卒中を患うことはなかったが、最初の脳卒中による脳性麻痺は残っており、足首には足の筋肉を支えるための固定具を着けている。

「時々、障害がないってどういう感じか知りたくて、障害が無かったら良いなって思うことがあるの。でも、その感じが分かることは一生ないと思う」とミシェルは語った。「物事を学んだり覚えたりするのは、まだ苦手。足も遅いし。多分、これ以上良くはならないと思う」

他にも同じような境遇にある人達

子供が脳卒中を患っていることに気付かなかったのは自分の不注意のせいだと、自分を責める親は沢山いる。もし、子供に異常がみられる場合は、直ちに医師の診断を受けるべきである。

「小児脳卒中の多くのケースで、子供が脳卒中に罹ったことを発見するのは困難でした。乳幼児の認知力は、彼ら自身が経験している脳卒中の症状を他人に効果的に伝えられるほど発達していないからです」とボストン市内のチルドレンズ・ホスピタルに勤める脳神経外科医エドワード・スミス医師は言う。「これが、脳卒中と診断されるのが遅れる理由である可能性があります」

しかし、脳卒中を患った子供を持つ親は、脳卒中患者とその家族で構成されコミュニティーが予想よりも大きいことに気づくのである。これは、小児の脳卒中は予想されたよりも多く起こるというUCSFの研究結果を強調するものである。

バラジオテスさんは現在、自身で創設した支援グループを通して、シカゴ市に住む小児脳卒中患者とその家族80世帯以上の支援を行っているという。

マット・マクダーモットさんは、現在3歳であるマクダーモットさんの娘カヤリンが、母親の胎内で脳卒中を患ったことを知った時、小児脳卒中を患った人が近隣に何人もいることを知った。

「以前は、小児脳卒中を患うお子さんが近隣に住んでいるなんて全く知りませんでした」とマクダーモットさんは言う。カヤリンさんは生後6か月の時に、脳卒中を患ったことがわかった。「娘が小児脳卒中を患ったことが分かってから、私達と同じ境遇にある家族が近隣に何世帯か住んでいることが分かったのです」

研究により、小児脳卒中がより大きな注目を集める可能性がある

ジョーンズ・ホプキンス・チルドレンズ・ホスピタルの神経内科学と小児医学の助教授であるロリ・ジョーダン博士は、「小児脳卒中がみられるのは稀だが、発症ケース数は小児における脳腫瘍と同程度である。脳腫瘍は、脳卒中よりも(注意を)引く。…小児脳卒中の原因と起こる頻度が解明されれば、その予防と治療に関する今後の研究課題を決める上で役立つだろう」と述べた。

ブレンドンは、現在4歳である。麻痺の残る右半身の筋肉の増強とコントロールのために定期的に理学療法を受けているのだが、スピアさんは、右半身と左半身の大きさが違うためにブレンドンが20歳になる頃には、股関節置換手術又は膝関節移植手術が必要になるのではと心配している。

それでも、ブレンドンは活発で良くしゃべる子供に成長したとスピアさんは語る。再び脳卒中に襲われる危険性も時間の経過とともに低くなっていく。これは他の子供たちにも言えることである。

「障害のせいでやきもきすることもあるけど、そんなことで子供達は諦めたりしません」とスピア氏は述べた。「どうしたら自分が欲しいものを手に入れられるか、その方法を子供達は考え出すんです」