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2014-10-31

ソース(記事原文):メッドスケープ

小児喘息にも有望なチオトロピウム

メッドスケープ(2014年10月31日) ― ジム・クリング(Jim Kling)著

【オースティン】―新しい研究においてコントロール不良な小児喘息患者に対し、吸入ステロイド薬の上乗せとしてチオトロピウムを吸入器「レスピマット」で1日1回使用したところ、肺機能の改善を認め、有害作用にはっきりとした変化は見られなかった。

レスピマットによるチオトロピウム使用が承認を取得しているのは慢性閉塞性肺疾患(COPD)であり、製造販売元のベーリンガーインゲルハイム社(Boehringer Ingelheim)は喘息に対しても米FDAの承認を取得できないか模索している。

抗コリン薬は以前から急性喘息発作の治療に使われているが、最近、難治性患者の維持療法としても有用な可能性が出てきた。

「これにベーリンガーインゲルハイム社は関心を持ち、COPDだけではなく喘息という領域にも目を向けることなりました」。そう話すのは、クリニカル・リサーチ・オザーク(Clinical Research of the Ozarks)(ミズーリ州コロンビア)の統括責任者、マーク・ヴァンデウォーカーMD(Mark Vandewalker, MD)だ。彼は学術集会「CHEST 2014」の場で、この研究を発表した。

成人の喘息患者における、吸入ステロイド薬の上乗せとしてのチオトロピウム・レスピマットは有効なことから(N Engl J Med. 2012;367:1198-1207)、今回の研究では特に小児患者集団を対象として調べた。

48週間の第III相試験に参加できるのは、喘息が3カ月以上あり、1秒量(FEV1)が予測値の60%~90%、喘息コントロール質問票(6点尺度)が1.5点以上の青少年とした。

被験者集団は年齢が12歳から17歳、65%が男性で、喘息の平均期間は7.86年、ベースライン時の平均FEV1は予測値の82.8%だった。

被験者は過去1年間に喫煙していないか、あるいは一度も喫煙したことがなかった。彼らは1日1回チオトロピウム5 μg群、チオトロピウム2.5 μg群、プラセボ群のいずれかに無作為に割り付けられ、全員が投与の際にレスピマットを使用した。この試験薬は、吸入ステロイド薬(12歳から14歳まで:ブデソニド200~400 μg、14歳から17歳:ブデソニド400~800 μg、あるいはこれに相当するもの)の上乗せとして投与した。

主要評価項目は第24週のピークFEV1(投与後3時間)だった。副次評価項目は第24週のトラフ(投与前)FEV1とし、当日の投与10分前に測定した。第48週でも、ピークFEV1(投与後3時間)とトラフFEV1を測定した。

表1 チオトロピウム群のピークFEV1(プラセボ群との比較)

評価項目調整後の平均群間差(mL)P値
チオトロピウム5 μg群
第24週FEV1 AUC(投与後3時間)174 .0005
第48週FEV1 AUC(投与後3時間)174.0006
チオトロピウム2.5 μg群
第24週FEV1 AUC(投与後3時間)134 .0085
第48週FEV1 AUC(投与後3時間) 176 .0007

表2 チオトロピウム群のトラフFEV1(プラセボ群との比較)

トラフFEV1 調整後の平均群間差(mL)P値
チオトロピウム5 μg群
第24週 117 .0320
第48週157 .0044
チオトロピウム2.5 μg群
第24週非有意
第48週 137 .0154

3群の有害事象プロファイルに大差はなかったものの、薬剤関連の有害事象と頭痛に関しては多少の差が見られた。

「皆さん、口渇が懸念だと思われるでしょうが、今のところそれはありません」とヴァンデウォーカー博士。「私の考えでは、その原因はレスピマット使用にあります。従来の吸入器であるハンディヘラーを使用しても、口渇が起こることは知られています」。

表3 有害事象の発生率

有害事象チオトロピウム5 μg群(n = 134)、%チオトロピウム2.5 μg群(n = 125)、% プラセボ群(n = 138)、%
有害事象が1件以上 62.7 63.2 59.4
重度の有害事象 1.5 1.6 2.2
薬剤関連の有害事象3.00.8 0.7
頭痛 6.75.6 1.4

喘息をコントロールできていない小児患者にとって、この薬は有用な選択肢となるかもしれない。ヴァンデウォーカー博士は「有益な治療であったようです。これまでのところ、ティーンエイジャーたちの治療反応は成人の場合とほとんど変わらず、むしろもっと強力なので、私たちはちょっと期待しています。と言うのは、子どもたちは喘息歴が成人ほど長期ではないため気道のダメージが少ないからです。安全性プロファイルも良好で、成人の場合に匹敵するものでした」と語った。

この研究のポスター発表に出席した、コネチカット大学(University of Connecticut)(ハートフォード)のクリス・キャロルMD(Chris Carroll, MD)が言うには、この薬は小児喘息治療に加わるものとして歓迎されるだろう。

「中等量のステロイドを使用しているのにコントロールが十分でない難治性喘息の子どものために、他の選択肢があれば本当にいいでしょう。ヴァンデウォーカー博士らが小児患者を対象とした研究を行っているのは素晴らしいことです。彼らはたくさんの薬物療法を調べるのが辛いなんて思っていないんですよ」と、キャロル博士は『メドスケープ・メディカルニュース(Medscape Medical News)』に語った。

キャロル博士によれば、この研究データは安心できるものだという。「この薬物療法の安全性について特に気掛かりなことはありません」。

この研究には、ベーリンガーインゲルハイム社が資金を提供した。ヴァンデウォーカー博士は同社から研究に関する報告を受けている。キャロル博士は、関連のある金銭的関係はないと言明した。

CHEST 2014(米国胸部疾患学会議)アブストラクト1994584、2014年10月29日発表


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