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2012-01-12

ソース(記事原文):ニュースワイズ誌

熱射病の新薬となるか? 悪性高熱症への影響

ニュースワイズ誌(2012年1月12日)― ニューヨーク州シャーバーン発

悪性高熱症と熱射病における類似症状

悪性高熱症とは生命を脅かす遺伝的筋障害であり、麻酔時に使われる特定タイプの薬剤にリスクを有する人が最も発症しやすい。一方、熱射病は主に高温/湿潤環境下での労作により生じるものである。悪性高熱症と熱射病は主な誘因が異なるとはいえ、両疾患にみられる徴候は極めて類似している。具体的な徴候にはコントロール不良の筋収縮、危険な体温上昇、筋破壊があり、それによって毒素が血中に放出され、不整脈や死亡を引き起こしうる。このような病態には迅速な治療が欠かせない。

悪性高熱症および熱射病の治療法

麻酔によって誘発された悪性高熱症の治療にはダントロレンという薬剤が用いられる。一方、熱射病の治療選択肢は積極的な寒冷療法や補液などの対症療法に限られている。筋肉疲労の遅延ならびに筋持久性の向上が報告されている薬剤AICAR(5-アミノイミダゾール-4-カルボキサミドリボヌクレオシド)が、熱射病発症の動物モデルにおいて熱射病を予防するのに有効であることを、テキサス州ヒューストンのベイラー医科大学(Baylor College of Medicine)と、ニューヨーク州ロチェスターのロチェスター大学(University of Rochester)、それにマサチューセッツ州ボストンのジョスリン糖尿病センター(Joslin Diabetes Center)の研究者らが今回明らかにした。同じ動物モデルを悪性高熱症に使用してみたものの、AICAR薬では麻酔による悪性高熱症からマウスを防御することはできなかった。

遺伝的関連性

悪性高熱症と熱射病の徴候は似ているのみならず、遺伝的関連性もある。遺伝子組み換え「悪性高熱症マウス」を麻酔に暴露すると悪性高熱症を発症し、高温に暴露すると熱射病に似た悪性高熱症様の反応を示すことが、最近の研究で明らかにされた。これらの「悪性高熱症マウス」は、筋細胞中のカルシウム量を調節するリアノジン受容体という重要なタンパク質をコードするリアノジン受容体遺伝子(RYR1)変異を有する。RYR1変異は、一部の熱射病患者にも発見されている。

本研究から得られた重要な結果とは?

これらのマウスにAICAR薬を投与することで、暑熱暴露時にリアノジン受容体を通して筋細胞中カルシウムが漏出増加するのを阻害でき、それにより熱射病反応の初期段階にみられる異常な筋収縮の発現開始が阻止された。これらのマウスにおいてAICAR薬は熱によって誘発された突然死または熱射病の予防に100%有効であった。

本研究が重要な理由とは?

毎年多くの人が、熱射病により死亡したり、苦しめられたりしている。熱射病は軍隊をはじめとして運動競技においても別に珍しいものではない。ある薬剤が特定タイプの熱射病を予防するのに有効であることを示したのは、今回の研究が初めてである。

悪性高熱症を発症しやすい人に、本研究がもたらす影響とは?

以前報告したように、特定のRYR1変異を有する人は、麻酔による悪性高熱症の事象を発症しやすい可能性があるだけでなく、熱にも敏感であると考えられる。本研究の主任研究者でベイラー医科大学のスーザン・ハミルトン(Susan Hamilton)博士は「こうした変異を有する人では、AICAR薬が熱性ストレスに対する重要な保護的役割を果たす可能性がある」と指摘している。

アメリカ悪性高熱症協会(MHAUS)代表ヘンリー・ローゼンバーグ(Henry Rosenberg)博士によれば、本研究は麻酔による悪性高熱症と、環境下熱射病との間の関連性を強調するものであり、リアノジン受容体遺伝子とその他の多くの疾患との関連性についての理解を深めるものである。また、悪性高熱症の治療や、筋異常および体温上昇を特徴とするその他の薬物性疾患の治療に有用となる薬剤が開発される可能性も広がる。

アメリカ悪性高熱症協会(MHAUS)は1981年に設立され、悪性高熱症や関連疾患を有する患者の科学的解明と至適治療法を促進している。また、MHAUSは医療専門家と患者および家族が、教育や検査を通じて悪性高熱症に備えるとともに、MH(悪性高熱症)24時間ホットラインなどの救命サービスを使用することを奨励している。悪性高熱症に関する研究・治療の動向などの詳細情報は、MHAUSから入手できるほか、麻酔科関連医学誌(Anesthesia and Analgesia)2011年11月号(113巻、1108~1119ページ)に掲載されている悪性高熱症に関する科学会議の紀要からも入手可能である。


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