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2013-09-05

ソース(記事原文):デイリーRx

糖尿病処方薬で心発作リスクは上昇せず

デイリーRx(2013年9月5日)― 糖尿病治療薬サクサグリプチン(saxagliptin)は心発作リスクを上昇させないと考えられるものの、心不全患者はその危険性を通告された。

サクサグリプチンは糖尿病患者の血糖値を抑えるのに役立つ薬である。本剤は心発作リスクを上昇させない可能性のある一方で、心不全患者に負の影響を与える可能性がある。

2009年に米国食品医薬品局(FDA)に認可されたサクサグリプチン(商品名Onglyza[オングリザ])は、食事と運動に加えて処方される薬剤であり、膵臓を刺激してインスリンをより多く作ることで、2型糖尿病患者の血糖(グルコース)値を下げる。インスリンは体の細胞がグルコースをエネルギーに変換する助けとなるものである。

サクサグリプチンは心発作リスクを増減させることはないが、サクサグリプチン投与により入院確率が高くなる心不全患者に問題を引き起こしうることが、糖尿病患者を対象とした新たな大規模研究で明らかにされた。

「新しい糖尿病治療薬については薬剤師に問い合わせること」

ハーバード大学医学部ブリガム&ウィメンズ病院(Brigham and Women's Hospital)循環器部門のTIMI(心筋梗塞における血栓溶解)研究グループとボストン退役軍人ヘルスケアシステム(VA Boston Healthcare System)の指導医で教授のディーパック・バット(Deepak Bhatt)博士らは、心疾患リスク因子を伴う2型糖尿病患者16,492人を対象に本試験を実施した。

サクサグリプチン5mg/日(または腎機能障害患者に2.5mg/日)を投与する群と、同用量のプラセボ(偽薬)を投与する群のいずれかに被験者を無作為に割り付けた。

必要に応じて、担当医師は別の糖尿病治療薬や心血管治療薬を追加投与する選択肢を有することとした。

平均約2年の追跡調査後、サクサグリプチンを服用している患者は、プラセボ群と同程度の心発作リスクを有することを研究者らが明らかにした。

著者らの報告によれば、心血管系の死亡、非致死性心臓発作、非致死性虚血発作の合計発現率は、サクサグリプチン群7.3%、プラセボ群7.2%で、両群で同程度であった。

ハーバード大学医学部ブリガム&ウィメンズ病院(Brigham and Women's Hospital)循環器部門のTIMI研究グループに属するベンジャミン・シリカ(Benjamin Scirica)博士は「サクサグリプチンを投与している患者の心発作リスクが増加しないことに安堵した」と報道発表で語った。

イスラエルのハダッサ医療センター(Hadassah Medical Center)に属する主任研究者の一人であるイタマル・ラズ(Itamar Raz)博士は同発表で「サクサグリプチンを投与した患者は、血糖値のコントロールが改善し、インスリン治療をそれほど必要としなくなった。また、サクサグリプチンは微量アルブミン尿の増悪を予防した」と補足した。

糖尿病患者によくみられる微量アルブミン尿は、タンパク質が腎臓から尿中に漏れ出すときにみられる症状であり、腎障害の徴候である。

また、治療終了時、サクサグリプチン投与患者は正常(糖化ヘモグロビン値7%未満で判定)とみなされる平均血糖値を得られやすいことが、本研究者らによって確認された。

しかしながら、本試験において、低血糖の症状(低血糖値)を1回以上報告した患者数は、サクサグリプチン群の方がプラセボ群よりも多かった(15.3対13.4 %)。

オングリザ(サクサグリプチン)で最も多く認められた副作用は、上気道感染症、尿路感染症、頭痛である。この他には発疹や蕁麻疹をはじめとするアレルギー様皮膚反応などの副作用があった。

声明で、試験責任者でハーバード大学医学部ブリガム&ウィメンズ病院(Brigham and Women's Hospital)循環器部門のTIMI研究グループに属するユージーン・ブラウンワルド(Eugene Braunwald)博士は「今回のデータはサクサグリプチン投与患者における心不全入院が予想外に増加することも示しており、さらなる試験が必要とされる」と注意を促した。

バット氏は、今回の研究結果は医師の指針として役立つとともに、科学的根拠やデータに基づく方法で様々な糖尿病治療薬を処方する医師の技能を向上させるのに有用となることを期待しているとしている。

「サクサグリプチンほど徹底的に検討された糖尿病治療薬は数少なく、今回の転帰試験は全ての糖尿病治療薬の安全性評価のレベルを引き上げるものである」とバット氏は述べている。

本研究はNew England Journal of Medicine誌9月2日号に掲載され、アムステルダムで開催された欧州心臓病学会(European Society Cardiology)2013年総会で発表された。今回の研究は製薬会社アストラゼネカ社(AstraZeneca)とブリストルマイヤーズスクイブ社(Bristol-Myers Squibb)から財政的援助を受けて実施された。


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