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2014-05-27

ソース(記事原文):メッドスケープ

リラグルチドは1型糖尿病患者に有効

メッドスケープ(2014年5月27日) ― ミリアム・タッカー(Miriam E.Tucker)著

ラスベガス ― 注射用グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)アゴニストであるリラグルチド(ノボノルディスク社製造ビクトーザ[Victoza])を、インスリンに併用すると、1型糖尿病患者に有益となる可能性のあることが、12週間の無作為化試験による結果で示された。

ニューヨーク州立大学バッファロー校(University of Buffalo)の内分泌学・糖尿病・代謝部門の内科助教ニティーシュ・クハジャ(Nitesh D.Kuhadiya)博士は「リラグルチドを用いると、1型糖尿病患者のかなりの割合で、低血糖を起こすことなく、HbA1cの目標値7%以下を達成可能となるほか、体重減少や血圧改善も認められる」と述べている。

同氏は、この最新データを、 第23回米国臨床内分泌学会議(American Association of Clinical Endocrinologists 23rd Annual Scientific and Clinical Congress)で発表した。

「米国における1型糖尿病患者の約40%が現在メタボリックシンドロームであり、その5つの重要な特徴のうちの3つ(高血圧、糖尿病、肥満)を、リラグルチドが標的とする点で、本研究は重要と言える」とクハジャ氏はメッドスケープ・メディカルニュース(Medscape Medical News)に語った。

1型糖尿病におけるリラグルチドを検討した無作為化プラセボ対照試験の実施は今回が初めてとなる、と同氏は補足した。

AACE次期代表で、ミシガン州ブルームフィールドヒルズにあるグランベルジェ糖尿病研究所(Grunberger Diabetes Institute)設立者のジョージ・グランベルジェ(George Grunberger)博士は、1型糖尿病患者におけるインスリンとGLP-1アゴニストの併用にはプラス面とマイナス面がある、とメッドスケープ・メディカルニュースに語った。「この治療が人気を博す一方で、実施手順について考えなくてはならない。別の注射が加わることで、その分余計コストもかかる。GLP-1アゴニストは1型糖尿病への適応では認可されていないため、誰が支払うことになるのか?」

とはいえ、「低血糖の発現減少、インスリン使用率25%低下、血圧低下、体重減少、血糖変動の軽減……を得られるという途方もなく魅力的な治療法であると思う」グランベルジェ氏は述べている。

上乗せ(併用)療法

1型糖尿病患者72人を、1日あたりリラグルチド0.6 mg、1.2 mg、1.8 mgのうちの1つを投与する群、もしくはプラセボを投与する群のいずれかに無作為に割り付けた。平均して年齢44歳、糖尿病罹患期間24年、体重83 kg、BMI(肥満度指数)29 kg/m2、平均HbA1c(ヘモグロビンA1c)値7.5%であった。全患者にインスリンポンプと持続血糖モニターを付けた。

インスリン用量は、試験開始前HbA1c値が7.5%を上回る患者においては変動せず、HbA1c値7.0%~7.5%の患者では10% 減少し、試験開始前のHbA1c値7.0%未満の患者では25%減少した。インスリン用量は、持続血糖モニターと、指先穿刺法による測定値に基づき調節した。

全部で63人(88%)が本試験を完遂した。12週時点で、平均血糖値はリラグルチド1.2 mg群と1.8 mg群で約10 mg/dL減少し、両群ともプラセボと比較して有意であった(P < 0.05)。HbA1c値は、1.2 mg群で0.8パーセントポイント減少し、1.8 mg群で0.4パーセントポイント、0.6 mg群で0.2パーセントポイント、プラセボ群で0.3パーセントポイントそれぞれ減少した。1.2 mg群でみられた減少は、プラセボと比較して有意であった(P < 0.05)。

1.2 mg群の方が1.8 mg群よりも減少幅が大きい理由は、試験開始時点のHbA1c値が1.2 mg群で約7.8%であり、1.8 mg群の7.4%よりも高かったことによる、と本研究者らは考えている。

クハジャ氏は「相関分析で、HbA1cの変化量が試験開始前のHbA1c値と明確に関連することが示された。つまり、開始前のHbA1c値が高いほど、減少幅も大きいということになる」とメッドスケープ・メディカルニュースに説明している。

1.2 mg群と1.8 mgの両群は、目標血糖範囲70~160 mg/dLに留まっていた時間が3%~5%長く(1.8 mg群においてP < 0.05)、血糖範囲160~240 mg/dLおよび240 mgを超える範囲に留まっていた時間は2%~4%短かった(プラセボとの比較で両群においてP < 0.05)、と同氏は報告している。

1.2 mgと1.8 mgの両リラグルチド群は、低血糖範囲55~70 mg/dLと、55 mg/dL未満に約1%長く留まったのに対し、0.6 mg群またはプラセボ群では新たな低血糖は認められなかった(P < 0.05)。また、重篤な低血糖発作はなかった。

インスリン用量は、1.2 mg群で約12単位、1.8 mg群でほぼ10単位減少した(P < 0.05)。

体重は、リラグルチドを投与された全3群で有意に減少し、具体的には1.2 mg群と1.8 mg群で約5 kg、0.6 mg群で約3 kg減少した(プラセボとの比較で全てについてP < 0.05)。

クハジャ氏は「リラグルチド投与患者に顕著な体重減少が認められた」としている。

被験者のほとんどが過体重または肥満であったが、リラグルチドは標準体重の患者にも効果的とみられた。1.2 mg群でBMI(肥満度指数)がちょうど25(BMI25以上が肥満)であった1名は、HbA1c値が7.7%から6.6%へと落ちた。1.8 mg群のうち標準体重患者6人は、HbA1c値が平均7.5%から7.1%に低下し、インスリン必要量も10%減少した。

12週時点において、グループ全体の収縮期血圧は1.8 mg群で約9 mmHg低下し、0.6 mg群で5 mmHg低下した。0.6 mg群では、血糖値を左右せずに、有意な血圧低下の傾向がみられた。このことは「リラグルチドによる糖血・体重・血圧への影響は互いに独立している旨を強調するものである」とクハジャ氏は述べている。

1.2 mgと1.8 mgの両群で、有意なQOL(生活の質)向上が報告され、全般的に1型糖尿病の負担が軽減し、低血糖や糖尿病への不安が和らぐように感じたという。また、患者の報告によると、糖尿病管理や食事厳守の煩わしさが減り、将来の不安が和らぎ、余暇や社会生活が改善した。

GLP-1アゴニスト、ジペプチジルペプチダーゼ4(DPP-4)阻害剤、ナトリウム・グルコース輸送体2(SGLT2)阻害剤における類似試験を他社が実施しており、医薬品ラベルに表記する適応症に1型糖尿病患者を付記できるのか検討している、とグランベルジェ氏はメッドスケープ・メディカルニュースに語った。「これに携わる企業はいずれも1型糖尿病を対象に試験を行っている」と同氏は述べている。

本研究はノボノルディスク社(Novo Nordisk)から財政的援助を受けた。クハジャ氏は、内分泌研究員基金から本試験実施のための助成金を受けた。グランベルジェ氏は、アマリン社(Amarin)、ヤンセン社(Janssen)、メルク、サノフィ社(Sanofi)、サンタラス社(Santarus)、武田、ヴァレリタス社(Valeritas)から講演謝礼金を受け取っている。同氏は、ブリストルマイヤーズスクイブ社(Bristol-Myers Squibb)、イーライリリー社、ノボノルディスク社(Novo Nordisk)から研究援助を受けた。

第23回米国臨床内分泌学会議(American Association of Clinical Endocrinologists 23rd Annual Scientific and Clinical Congress)にて2014年5月16日発表


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