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2013-11-04

ソース(記事原文):マックマスター大学

マックマスター大学の研究者らが糖尿病治療薬の秘密を解明

マックマスター大学(2013年11月4日) ― スザンヌ・モリソン(Suzanne Morrison)著

2型糖尿病のコントロールにメトホルミンという薬剤を服用している患者は、世界で約1億2千万人おり、カナダだけでも200万人いる。

メトホルミンから効果を得るにはインスリンと相互作用させることが必要であり、メトホルミン単独では血糖値を下げられないことが既に医師らによって周知されているが、そうなる仕組みと理由について説明できる者はこれまでいなかった。

マックマスター大学(McMaster University)の研究者らがこの謎を初めて解明し、メトホルミンが肝臓内脂肪に働きかけることが分かった。この研究は、医学誌ネイチャー(Nature Medicine)本日号に掲載された。

マイケル・G・デグルート医学部(Michael G. DeGroote School of Medicine)のグレッグ・シュタインベルク(Greg Steinberg)準教授は「重要なのは、メトホルミンが血糖(グルコース)に直接働きかけて血糖値を下げるわけではないという点である。本剤は有害な肝臓内脂肪分子を減少させる働きをし、それによりインスリンがうまく機能し、血糖値が下がる」と述べている。

同氏は、カナダ政府直属の代謝肥満研究教授(Canada Research Chair in Metabolism and Obesity)であり、代謝・幼児期肥満研究プログラム(Metabolism and Childhood-Obesity Research Program)の責任者の一人でもある。同氏らの研究チームは、アルバータ州(カナダ)、オーストラリア、およびスコットランドの研究者らからなる。

シュタインベルク氏によれば、メトホルミンを服用している人のほとんどに脂肪肝がみられる。脂肪肝は肥満が原因で生じることが多い。「脂肪は糖尿病前症の重要な誘因となりやすく、脂肪が貯まるとインスリンは肝臓から出てくる糖質を効率的に食い止められなくなるので、血糖値の上昇が起こる」

本研究者らは、脂肪肝の原因を明らかにするため詳細な調査を実施し、アセチル-コエンザイムAカルボキシラーゼ(ACC)と呼ばれる2個のタンパク質の単一アミノ酸の「遺伝子を破壊」したマウスについて検討した。これらのタンパク質は、代謝センサーAMP活性化タンパク質キナーゼによってコントロールされており、脂肪生産や脂肪燃焼能力を制御する。

変異タンパク質を有するマウスは、肥満でなくても、脂肪肝および糖尿病前症の徴候を発現した。

「一方、とても意外であったのは、2型糖尿病に処方される最も一般的かつ安価な薬剤メトホルミンを、突然変異性肥満マウスに投与しても、血糖値は下がらなかったということである」とシュタインベルク氏は述べている。「これは、メトホルミンの作用機序が、糖代謝を直接下げることによるものではなく、肝臓内脂肪を減少させてインスリンをうまく機能させることによるものであることを示している」

本研究の主著者モルガン・フラートン(Morgan Fullerton)は「遺伝的マウスモデルを用いた大多数の研究と異なり、我々は全てのタンパク質を欠損させるのではなく、ごくわずかな遺伝子変異のみを生じさせ、人間に認められうるものと同等にすることで、2型糖尿病におけるメトホルミンの血糖降下方法をとても正確に明示した」と補足した。

「この発見は、血糖を正常値に戻すのにメトホルミンでは効果不十分となる糖尿病に対する併用療法(より個別化されたアプローチ)の開発に大変有利になる」とシュタインベルク氏は述べている。

マックマスター大学のシュタインベルク氏らのチームは、 カナダ健康研究所(Canadian Institutes of Health Research)とカナダ糖尿病協会(Canadian Diabetes Association)から研究助成金および研究奨学金を受けた。


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