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2010-11-28

ソース原文(オリジナル):ネイチャーニュース

テロメラーゼが老化プロセスを逆転させる

若年性老化症を患うマウスに劇的な若返り効果がみられた。これが若年性老化症の治療につながる可能性がある。

染色体の末端を保護する酵素を再活性化させることにより、若年性老化症を逆転させられることが、マウスを用いた研究で判明した。

その酵素(テロメラーゼと呼ばれる)が欠乏するよう操作されたマウスに若年性の老化現象がみられた。しかし、テロメラーゼが補充されると健康な状態に戻ったのである。この発見(本日のオンライン版ネイチャー誌に掲載)は、 若年性老化症に特徴づけられる疾患が、テロメラーゼの活動を促進する事により治癒する可能性があることを示唆している。

この発見は、活動を休止している細胞内のテロメラーゼを再活性化させることにより、ヒトにみられる通常の老化現象を遅延させる可能性があることも示している、とロナルド・デピンホ氏(Ronald DePinho)は述べた。 デピンホ氏はマサチューセッツ州のボストン市に所在するダナ・ファーバー・キャンサー・インスティチュート(Dana Farber Cancer Institute)及びハーバード・メディカルスクール(Harvard Medical School)の癌遺伝学者であり、 今回の研究を指揮した人物である。「この研究結果は、テロメラーゼが本物の抗老化薬であると考えるに値するものである」

しかしながら他の科学者達は、テロメラーゼが欠如しているマウスを通常の老化現象と同一視することはできない。更に、人体内におけるテロメラーゼの産生量を増やすと、腫瘍の形成を促すことにも繋がりかねない、と主張している。

体外にある若さの源

1980年代に発見されて以降、テロメラーゼが若さの源であると噂されてきた。染色体の末端部には、テロメアと呼ばれる反復DNA配列が存在する。細胞が分裂するたびに、このテロメアが短縮していく。 最終的には細胞分裂ができなくなり、その結果、細胞は死ぬ。テロメラーゼは、ある種の細胞におけるテロメアの短縮を防ぐ。テロメラーゼによりテロメアが伸長されるからである。そしてこの酵素を活性化させることにより、 ある種の細胞の老化を遅延させるということが期待されていた。

それから20年が過ぎ、老化現象におけるテロメラーゼの役割は、最初に想定されていたものよりも、ずっと曖昧なものであることに研究者達は気付いたのである。 短いテロメアと早期の死に相関関係があるとの結果を示す研究結果がいくつかある一方で、関係を証明するに至らなかった研究も存在する。 通常よりも短いテロメア又はテロメアーゼの突然変異を特徴とする稀な疾患を患っている患者に若年性老化症が現れているように見受けられる。しかし、老化の度合いも組織によって異なる。

テロメラーゼが体内で一切産生されないよう操作されたマウスのテロメアは、世代を重ねるごとに短くなっていった。これらのマウスの老化速度は、通常のマウスと比べ格段に速かった。そのマウスは、繁殖力をほとんどもたず、 骨粗鬆症、糖尿病、そして神経の変性等、老化と関連性のある疾患に罹患し、そして死期も早かった。「これらのデータを総合的に見れば、テロメラーゼの欠如と老化現象に重要な関連性が認められることが分かる」とデピンホ氏は述べた。

これら老化現象によりもたらされる深刻な影響は改善可能なのか否かを判断するため、デピンホ氏が率いる研究チームはある種のマウスを作り出した。 このマウスの体内にはその活動を休止しているテロメラーゼが存在しているのだが、このテロメラーゼは、4-OHTと呼ばれる化学物質をそのマウスが摂取すると、活動を再開する。 研究者は、このマウスを体内にテロメラーゼが欠落した状態のまま成熟させ、マウスが成熟した時点でテロメラーゼを1ヶ月間、再活性させた。更にそれから1ヶ月後にそのマウスの健康状態を検証した。

「我々を本当に驚かせたのは、これらのマウスのおける老化現象の影響が劇的に改善されていたことです」とデピンホ氏は述べた。彼は、この研究結果を「ポンセ・デ・レオン(スペイン人探検家であり、 神話に出てくる若さの泉を探す旅に出たフアン・ポンセ・デ・レオンのことである)効果に近い」と形容した。 機能不全に陥っていた精巣が健康な状態に戻ったため、これらのマウスは繁殖能力を取り戻したのである。脾臓、肝臓、腸等の他の器官も、機能が低下した状態から健康な状態に回復した。

1ヶ月間テロメラーゼが再活性化されたことにより、脳の老化も改善された。再活性化されたテロメアーゼをもつマウスの脳は、そうでないマウスと比べ明らかに大きく、 神経前駆細胞(新たな神経細胞を作り出し、脳細胞を助ける細胞である)もその活動を再開したのである。

「この研究結果から、老化症と関連性のある疾患は回復する見込みがあるように見受けられる」とデピンホ氏は述べた。テロメラーゼの活動を促進させる薬は、若年性老化症を特徴とした稀な疾患の治療薬としては 勿論のこと、より一般的な、老化現象と係わりのある疾病の治療薬としても研究を続ける価値がある、とデピンホ氏は述べた。

癌との関連性

テロメラーゼのデメリットは、ヒトの癌細胞内で突然変異を起こし、すでに形成している癌細胞の増殖を促進する働きがあるように見受けられることである。しかしデピンホ氏は、DNAの損傷を防ぐことにより、 健康な細胞が癌細胞に変質するのを予防する働きが、そもそもテロメラーゼにはあるはずだ、と反論している。

ボストン市内のハーバード・メディカル・スクールに勤める分子生物学者であるデビッド・シンクラー氏(David Sinclair)は、テロメラーゼを活性化させることが癌予防に繋がる可能性があることを示す証拠があると述べ、 デピンホ氏の見解に賛同している。シンクラー氏は更に「もしその治療法が安全なのであれば、高齢者の臓器機能の回復や様々な老化症治療に繋がる画期的な治療法につながる可能性がある」と述べた。

デピンホ氏やシンクラー氏と比べ他の研究者は、テロメラーゼの再活性化の安全に関し、やや懐疑的である。「テロメラーゼの活性化が癌細胞の増殖に繋がらないことが確認されない限り、 テロメラーゼによる若返り療法は非常に危険である」とデビッド・ハリソン氏は述べた。ハリソン氏はメイン州バーハーバーのジャクソン研究所(Jackson Laboratory)にて老化現象について研究を行っている。

ハリソン氏は、テロメラーゼが欠如するよう操作されたマウスが、ヒトの老化現象の良き例であるといえるのか、疑問を呈している。「彼らが研究したのは、ひどく異常がみられるよう操作されたマウスの老化現象であって、 健康な状態の老化現象ではない」と同氏は述べた。英国ニューキャッスル大学(Newcastle University)の老化・健康研究所(Institute for Ageing and Health)の所長を務めるトム・カークウッド氏(Tom Kirkwood)はこの意見に賛同し、 次のように述べている。「テロメアの縮小だけが、ヒトの老化の原因ではない。ましてやそれが主要な原因ですらないことは明らかである」

デピンホ氏は、特に高齢者の老化にはテロメアの縮小以外の多くのものが関わっていることを認識している、と述べてはいるものの、次のように主張している。「いつかテロメラーゼ療法が、 老化に係わる生化学経路を対象とした他の療法と併用される日がくるかもしれない。ヒトの寿命や健康でいられる期間を延ばすため、幾つかある治療法の他に、このような方法が必要である可能性がある」とデピンホ氏は述べた。