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2015-11-17
ソース(記事原文):Medical News Today
アルコール依存症の治療薬がHIVにも効果があるかもしれない
【Medical News Today】(2015年11月17日) ― オーストラリアにあるメルボルン大学の研究者による新しい研究結果によると、ジスルフィラムと呼ばれるアルコール依存症の治療薬が、私たちをHIV治癒に近付けてくれる可能性があるかもしれない。
研究の主導者であるメルボルンのピーター・ドハティー感染免疫研究所(Peter Doherty Institute for Infection and Immunity)のシャロン・レヴィン教授とその同僚は、研究結果をランセットHIV(The Lancet HIV)で発表した。
ジスルフィラム(商品名:アンタビュース)はアルコール使用障害者がその摂取を抑制するために処方される薬で、摂取したアルコールを代謝するデヒドロゲナーゼという酵素の働きを妨げる作用を持つ。
デヒドロゲナーゼの阻害はアルコールに対する急性過敏症を引き起こす。ジスルフィラム服用中に患者がアルコールを摂取した場合、頭痛、吐き気、胸痛、嘔吐、脱力感、霧視、発汗、精神錯乱など、多くの不快な副作用を起こすことになる。
しかしアルコール依存症を治療すると同時に、この薬は世界でもっとも深刻で治りにくい病気のひとつであるHIVの治癒に繋がるかもしれないことをレヴィン教授とその同僚が発見した。
抗レトロウイルス治療(ART)はHIVの一次療法で、病気の進行を遅らせる最低3種類の抗レトロウイルス製剤を組み合わせたものである。HIVによる死亡を世界的に減少させたが、治癒には至っていない。
ARTでは患者からHIVを完全に排除することはできない。ウイルスは細胞内で休眠し、免疫機能攻撃から姿を隠している。
しかし第II相臨床試験では、ジスルフィラムが休眠しているHIVを「目覚め」させる助けをし、破壊しやすくすることを発見した。すなわち研究者たちがウイルスを治癒するカギになると信じる「ショック・アンド・キル」戦略である。
数多くの研究がそれを取りかかりとして研究をした。例えば9月にメディカルニュース・トゥデイが、がん治療のために研究されたとある薬物群がHIV細胞を休眠から起こしたことを示唆する研究の報告をした。
しかしながらレヴィン教授と同僚たちは、休眠中のHIVを再び目覚めさせるために試した今までの薬は、ショック・アンド・キル戦略の前進にとって大きく立ちはだかる毒性の副作用を引き起こした、と述べている。
サンフランシスコにあるカリフォルニア大学の研究員たちと共同で実施した彼らの研究では、ART治療を受けているアメリカおよびオーストラリアのHIV陽性患者30人にジスルフィラムを与えた。
ジスルフィラムは、初日に500mg、2日目は1000mg、そして3日目は3000mgと、3日間毎日投与された。
その結果、 2000mg の投与で患者の細胞で休眠していた HIV が毒性の副作用を引き起こすことなく活性化されることがわかった。
「私たちが使用したジスルフィラムの用量はウイルスに対して”キックする”というよりは強めの”くすぐり”を与えたに過ぎませんが、それでも充分ではないかと思っています」とレヴィン教授。「薬は3日間だけしか投与していないにもかかわらず、血漿中のウイルスは明らかに増えていることを発見してとても勇気づけられました」。
レヴィン教授はこうも付け加えている。
「この研究は、ジスルフィラムは毒性ではなく安全に使用できることを明らかに立証し、まさに私たちが必要とする大逆転を起こす薬になる可能性があるのです」。
オーストラリアのモナシュ大学伝染病学部とアルフレッド病院の臨床試験長であり研究の第一著者でもあるジュリアン・エリオット博士は、休眠中のHIVを起こすことは排除のための第一歩でしかない述べ、今度はそのウイルスを破壊する方法を見つける必要がある。
「1日1回簡単に経口服用できる安全な薬で休眠中のウイルスを起こせることが立証できたことは、とても重要な一歩なのです」と彼は付け加えた。「今度は感染した細胞をどのように排除するかについて取り組む必要があります。免疫機能に弾みをつけることが役に立つかもしれません。私たちには、このとても頭のいいウイルスを最終的にどのように根絶するかについて、学ぶべきことがまだ膨大にあるのです」。
MNTは最近、米国食品医薬品局(FDA)がHIV治療にGenvoyaという錠剤が承認されたことを報告した。
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