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2013-04-02

ソース(記事原文):EurekAlert!

ジスルフィラム:従来の依存症治療薬の新たな裏付け

EurekAlert!(2013年1月31日)― バイオロジカル・サイキアトリーの新しい研究から

ペンシルベニア州フィラデルフィア、2013年1月31日 ― 50年以上前に、アルコール依存症の治療目的で承認された初の薬がジスルフィラムであった。この薬はアルコールの代謝産物であるアセトアルデヒドを阻害することによって、少なくとも部分的には役に立つ。体内のアセトアルデヒド濃度が高いと、すぐに悪心、嘔吐、頭痛、心悸亢進などの不快な症状が現れる。つまり、ジスルフィラムは飲酒回避の強力な誘因を与える。

イェール大学(Yale University)で1990年代後半から複数の研究が実施されており、この一連の研究によって、特にアルコールやオピエート依存という背景がある場合に、ジスルフィラムはコカインの使用を減らすことが判明した。この現象を説明する仕組みとして採用されたのが、ドーパミンβ‐ヒドロキシラーゼ(DβH)を阻害するジスルフィラムの能力であった。DβHは、ドーパミンをノルエピネフリンに変換する酵素である。トーマス・コステン(Thomas Kosten)と同僚らは新たな薬理遺伝学研究でこの仮説を裏付け、バイオロジカル・サイキアトリー(Biological Psychiatry)に発表した。

この研究者らはコカイン依存患者とオピオイド依存患者を募集して、彼らを、10週間のジスルフィラム服用群とプラセボ服用群のいずれかに無作為に割り付けた。また、DβH量を変化させるDBH遺伝子の型を特定して、各患者がどの異型を持つか調べた。CC遺伝子型の人はDβH量が正常であるのに対し、Tアレルの保有者はDβH量が比較的少ないことを、先行研究がすでに示している。ここから、研究者らは機能上のDBH異型がジスルフィラム治療の成功に影響を与えるかどうか調べることが可能となった。

CC遺伝子型でDβH量が正常な患者では、ジスルフィラムはコカイン使用の減少に有効であったが、T遺伝子型でDβH量が少ない患者では、ジスルフィラムの効果はみられなかった。これらのデータは、ジスルフィラムがDβHを阻害することによって部分的に薬物使用を減らすという仮説を裏付けるものである。

ベイラー医科大学(Baylor College of Medicine)の上席著者、デイビッド・ニールセン(David Nielsen)は次のように話した。「DβHをコードする遺伝子で、この酵素を10~100倍多く発現させる異型はコカイン依存者の約60%でみられますが、我々はこの異型遺伝子を持つ依存者には多大な効果があることを認めました。そのため、コカイン依存に対するジスルフィラムの効果を最大限引き出すには、薬理遺伝学的にマッチすることが極めて重要です。この遺伝的マッチは、それら依存患者の多数が当てはまります。」

ジスルフィラムは、コカイン依存の治療薬としてはFDAに承認されていない。実際、コカイン依存の治療用として承認されている薬は今のところ1つもない。

「医薬品開発の観点から、コカインは特に難しい問題であることが証明されています。これはコカインと、コカイン関連のきっかけが行動に及ぼす強力なコントロールを反映しているに違いありません。しかし今回の研究は、効果がありそうな患者にジスルフィラムのような薬剤をマッチさせるという、薬理遺伝学的アプローチが治療戦略となる可能性を示唆しています」バイオロジカル・サイキアトリーのエディター、ジョン・クリスタル博士(Dr. John Krystal)はそうコメントした。


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