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2011-04-04

ソース(記事原文):サイエンスデイリー

ヘルペスとアルツハイマー病に関連性:「口唇ヘルペス」は認知機能低下につながる

サイエンスデイリー(2011年4月4日) — 細胞内で増殖する単純ヘルペスウイルス1型(HSV1)感染症を観察する新技術が、ニューメキシコ大学(University of New Mexico)、ブラウン大学(Brown University)、ハウス耳科学研究所(House Ear Institute)の研究室で開発された。一般的な口唇ヘルペスの原因となるHSV1は、神経細胞内に潜伏ウイルスとして存続する。HSV1感染症の再活性化や増殖によりアルツハイマー病に伴う認知機能低下が促される。

詳細はプロス・ワン(米科学誌)3月31日号に掲載された。

本研究の主任研究者であるニューメキシコ医科大学病理学部研究科副科長かつ教授(Harvey Family Professor)のエレイン・ベアラ(Elaine Bearer)博士は「ヘルペスは、唇または眼などの粘膜に感染し、ウイルス粒子を形成する。これらのウイルス粒子が粘膜の細胞外へ飛び出し、感覚神経細胞内に入り、脳に向かって神経内部を移動する。現時点ではこの細胞形質転換システムの確認が可能であるほか、新しく形成されたウイルスが、細胞外に出てAPP(アミロイド前駆タンパク質)と結合する経緯を観察することもできる」と述べている。

研究者らは、細胞内のヘルペスウイルスを緑色の蛍光タンパク質で標識し、共焦点画像解析を用いて感染細胞から出現するHSV1粒子を観察した。新たに形成されたウイルス粒子は細胞核を出て、その後アミロイド前駆体タンパク質(APP)を含む細胞膜に入り込む。ハウス耳科学研究所による電子顕微鏡観察により、HSV1粒子とAPPの間の超微細構造的な関連性が明らかにされた。

ウイルス粒子と細胞APPの間の躍動により、APPの細胞構造や分布に変化が生じ、これがアルツハイマー病患者の脳内に認められる老人斑の主成分となる。今回の研究結果から、細胞内HSV1粒子の大半が頻繁にAPPと動的相互作用することで、ウイルス輸送が促進される一方、APPの正常な輸送と分布を妨げることが示されている。この動的相互作用により、HSV1感染症からアルツハイマー病に至るメカニズムが明らかにされる。

米国のような先進国では、約20%の子供が5歳になる前にHSV1に感染する。20歳から30歳までには人口の60%もが感染し、晩年になると感染率が85%に達する。

HSV1による一次感染の症状は、口、唇、または眼に疼痛を伴う水疱が生じることなどである。感染後は、潜伏状態になって神経細胞内に存続する。覚醒状態になると、新しいウイルス粒子が神経細胞内に形成され、その後、経路を後戻りし、粘膜に再感染する。多くの感染患者は、散発的なウイルス感染の症状を経験しており、よく知られているものに再発性口唇ヘルペスがある。

ブラウン大学アルパート医学部病理学・臨床検査医学の博士研究者シャイビン・チェン(Shi-Bin Cheng)博士は、「臨床医らによって患者におけるHSV1感染症とアルツハイマー病との関連性が認められていることから、体内で何が起きているのか原因を調査したいと思った。研究室レベルで確認できたことは、HSV1とアルツハイマー病の因果関係を強く示唆するものである」と補足した。

ベアラ氏は「もはやHSV1が認知機能低下に関与しているかどうかを特定することが問題なのではなく、むしろどれほど大きく関わっているのかが問題となる」と主張している。「急性ヘルペスに対する治療に用いられる抗ウイルス薬を調べ、認知機能低下を遅延または予防する能力について判定することが必要となる」

研究者らは、口唇ヘルペスをできるだけ早く治療し、ウイルスが神経系を通って活発に移動する時間を最小限に抑えることを推奨している。口唇ヘルペスの治療が素早く行われるほど、HSV1が休眠状態に戻るのも速まる。

上記以外の共著者はニューメキシコ大学上級研究助手ポーレット・フェーリン(Paulette Ferland)と、ハウス耳科学研究所(カリフォルニア州ロサンゼルス)のポール・ウェブスター(Paul Webster)らからなるほか、研究参加者はニューメキシコ大学キャスリーン・キルパトリック(Kathleen Kilpatrck)と、ブラウン大学の学生多数からなり、本プロジェクトに貢献したことが確認されている。