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2007-03-30

ソース(記事原文):BBCニュース

動脈を守る糖尿病薬

動脈血管壁に脂肪が溜まると心疾患の原因になるのだが、ある糖尿病治療薬を服用すると血管壁に脂肪が付きにくくなるとの研究報告がある。

ピオグリタゾンには、インスリンと呼ばれるホルモンに対する感受性を高める作用がある。2型糖尿病患者の中にはインスリンが不足している場合が多い。

シカゴ大学が行った研究の結果が、オンライン版ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・メディカル・アソシエーション(The Journal of the American Medical Association)に掲載された。

糖尿病患者で、体内でインスリンを生成できない人やインスリンに対し通常みられるような反応がみられない人は、糖尿病を患っていない人々よりも、心疾患に罹患するリスクが高い。

血圧や血中コレステロール値をコントロールすることにより、前述のようなリスクを完全に抑えることはできないが、ある程度低減することはできる。

シカゴ大学の研究チームは、462人の2型糖尿病患者に対し、ピオグリタゾン、又は別の糖尿病治療薬グリメピリドのどちらかを処方した。

超音波測定

頸動脈の血管壁の厚さを測るため、超音波測定が定期的に行われた。頸動脈は首にあり、脳に血液を送っている。

72週間後、グリメピリドを服用したグループの動脈血管壁は、平均で0.012mm厚くなっていた。

これに対して、ピオグリタゾンを服用したグループの動脈血管壁は、平均で0.001mm薄くなっていたのである。

ピオグリタゾンを服用した人々に、血糖値の低下と、体に良いHDLコレステロール値の上昇もみられた。

研究者は、動脈血管壁が薄くなったのは、HDLコレステロール、又は血管壁に直接作用する何らかの物質のお陰である、と述べた。

英国心臓財団(The British Heart Foundation)の心疾患専門の看護師エレン・メイソン氏は「冠状動脈疾患の主因である糖尿病の患者数は増え続けている。」と述べた。

「血糖値をコントロールする事が、糖尿病患者にとって非常に重要である。血糖値をコントロールすることが、血管壁に脂肪が蓄積するのを防ぐことに繋がる」

「動脈血管壁に脂肪が付きにくくする事と糖尿病患者の心臓発作のリスク低減の関連性に関しては、未だ不明である。そのため更なる研究が必要である」

チャリティ・ダイアビーティーズ・ユーケー(the Charity Diabetes UK)のゾエ・ハリソン氏は「ピオグリタゾンの使用は、現在制限されている。そして今回の研究規模は比較的小さいため、ピオグリタゾンを普及させるには更なる研究が必要である」と述べた。

「糖尿病治療に関する、より多くの研究が行われることを我々は望んでいるが、心疾患のリスクを低減するためには、糖尿病を効果的にコントロールする事の重要性を説くことに重点を置く」

ピオグリタゾンは、チアゾリヂンヂオンと呼ばれる薬剤の一種である。


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