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2013-11-10

ソース(記事原文):ペイン・メディスン・ニュース

小児アデノイド口蓋扁桃摘出術後の鎮痛薬としての経口セレコキシブ

ペイン・メディスン・ニュース(2013年11月) ― 小児手術後の鎮痛薬としてセレコキシブの評価を行う初めての研究が実施され、本剤がアデノイド口蓋扁桃摘出術後に効果的な除痛作用をもたらすことが、カナダの研究者らによって明らかにされた。

オンタリオ州オタワの東オンタリオ小児病院研究所(Hospital of Eastern Ontario Research Institute)が実施した無作為化比較試験で、アデノイド口蓋扁桃摘出術を受けた小児において、経口セレコキシブ(ファイザー社セレブレックス)の短期投与は、機能回復には効果がない一方で、初期の痛みを軽減し、アセトアミノフェン(鎮痛薬)の投与量削減につながることが明らかにされた。本剤による出血リスクの増加はみられなかった。

研究チームを主導する同研究所の小児心臓麻酔科長で研究責任者のキンモ・マート(Kimmo Murto)博士は「セレコキシブが小児の周術期における鎮痛薬として使用されたことがないという事実に少し驚かされる」と述べている。「本研究は、一般的な手術、特に小児におけるアデノイド口蓋扁桃摘出術術後の痛みに対してセレコキシブの効果を検討した初めてのものである」

2013年カナダ麻酔学学会(Canadian Anesthesiologists'Society)年次総会は洪水のため中止となったが、マート氏による今回の結果(抄録1651722)発表が予定されていた。

本研究では、2~18歳の小児282人を、手術前に初回負荷量としてセレコキシブ6mg/kgを投与する群、もしくはプラセボを投与する群に無作為に割り付けた。手術後、セレコキシブ3mg/kgまたはプラセボのいずれかを1日2回、5日間投与した。モルヒネとアセトアミノフェンは必要に応じて投与し、その投与については予定に組み入れなかったが、モニタリングは行った。手術後0~7日目の回復を記録するため、保護者と子供に年齢に合わせた日誌に記入してもらった。

主要評価項目は手術後0~2日目における直前24時間以内の「最悪の痛み」とした。その他の評価項目は、鎮痛薬の使用、副作用、痛みと副作用に関する保護者の満足度、出血による来院、治療介入の必要性などとした。また、研究者らは、QOL(生活の質)および疲労感からなる機能回復について、試験治療開始前と手術後7日目で比較した。さらに、セレコキシブ代謝をつかさどるチトクロームP450酵素2C9(CYP2C9)の遺伝子型を特定した。

手術後0日目(P=0.03)と手術後1日目(P=0.01)、セレコキシブは「最悪の痛み」を有意に軽減させた。しかし、手術後2日目には有意差がみられなかった(P=0.66)。手術後0日目(P=0.04)と手術後1日目(P=0.01)、セレコキシブは嚥下(飲み込み)の痛みを有意に軽減させた。安静時痛が軽減したのは、手術後0日目の夜間に限られた(P=0.02)。

手術後0~2日目、セレコキシブ投与患者では、アセトアミノフェンの投与量が有意に減った(P=0.04)。一方、モルヒネ投与量は減る傾向がみられたものの、その減少量は統計学的に有意ではなかった(P=0.06)。

アセトアミノフェンの使用を投与予定に組み込めば、より大きな鎮痛効果が得られる可能性がある、とマート氏は示唆している。

CYP2C9遺伝子型の分布や、保護者の満足度、手術後7日目の機能回復、副作用発現率において、群間差は報告されなかった。マート氏の報告によると、セレコキシブを投与した小児において、低代謝CYP2C9遺伝子型は、鎮痛効果または有害事象に関連しない。同氏らによれば、扁桃腺の出血による通院では「最小」差が認められ、具体的にはセレコキシブ投与群6人に対し、プラセボ群5人であった。同様に、追加外科手術でもセレコキシブ群3人に対し、プラセボ群2人であった。

FDA(米国食品医薬品局)が認可する小児集団におけるセレコキシブの適応は若年性特発性関節炎のみとされているが、「小児における手術後の痛みの管理にある程度有用であるとみられる」とマート氏は述べている。アデノイド口蓋扁桃摘出術が、術後出血や呼吸器の諸症状発現に関連することを加味すると、「セレコキシブは小児扁桃腺手術後の痛みの管理に理想的な鎮痛薬であると考えられる。その理由として本剤がオピオイド量を削減する可能性があり、血小板機能を維持することが挙げられる」としている。

ニューヨーク州バッファローの小児・産婦人科病院(Women and Children's Hospital)麻酔科臨床教授ジェロルド・レルマン(Jerrold Lerman)博士は「扁桃摘出術後の痛みの治療の難点に、セレコキシブを含めた治療が役立つ可能性がある。ただし、使用するには、小児における本剤の薬物動態および至適投与量を知っておく必要がある。小児におけるセレコキシブの薬物動態を検討した研究が1件だけあるとみられるが、用量反応試験はまだ実施されたことがないと思われる。オピオイドを削減する薬剤として使用するには、まず至適投与量を決定するための用量反応試験を行う必要がある」と語った。

ワシントンDCにあるジョージ・ワシントン大学メディカル・センター(George Washington University Medical Center)麻酔学・小児医学教授で、国立小児医療センター(Children’s National Medical Center)麻酔科医のスーザン・バルギーズ(Susan Verghese)博士は、アデノイド口蓋扁桃摘出術後にこの経口薬が忍容性を示したのは興味深いとしている。とはいえ、「鎮痛効果をもたらし、手術部位の組織炎症を軽減させ、その結果として術後に用いる麻酔薬の用量軽減につながる薬剤はどれも素晴らしい薬と言える。小児のアデノイド口蓋扁桃摘出術後に、最も少ない副作用で、鎮痛作用と抗炎症作用を得られる非麻薬性の薬剤の探索は、究極の目標であるが発見は容易ではない。全ての研究者がこの薬を見つけ出したいと願っている」と同氏は述べている。

マート氏によると、同氏らは、この患者集団において、投与期間を長くし、増量したセレコキシブを、事前に予定したアセトアミノフェンと併用投与する試験を実施する計画を立てているという。

この論文抄録は、2013年10月の麻酔・睡眠医学学会年次総会で臨床科学のカテゴリーで最優秀論文賞を受賞した。

マンディ・アーミテージ(Mandy Armitage)医学博士 著


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