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2016-06-21

ソース(記事原文):MedPageToday.com

心房細動脳卒中リスク低下に
依然としてアスピリンを誤処方

【MedPageToday.com】(2016年6月21日)

アスピリンには心房細動に関連する血栓塞栓症の予防効果がないにも関わらず、中等度から高度の脳卒中リスクを持つ心房細動患者の実に3分の1以上が、このリスク低減のために経口抗凝血薬ではなくアスピリンを処方されている、と研究者たちが報告した。

心房細動患者に関する米国心臓学会のピナクル・レジストリを活用して彼らが新たに発表したデータの分析では、40パーセント近くの患者が経口抗凝血薬の代わりにアスピリンだけで治療を受けていたことがわかった。

多変量補正した後でも、アスピリンを処方された患者は経口抗血薬を処方された人よりも心臓血管障害のほかのリスク要因を多めに持っていることを解明したと、サンディエゴにあるカリフォルニア大学のジョナサン・C・スー博士とその同僚は『 Journal of the American College of Cardiology』誌で記している。

「これらのデータは、冠動脈疾患を持つ、またはそのリスクのある患者において顕著な治療のずれがあることを示しており、アスピリンはこれらの人に対して抗凝血薬よりも効果が劣ることを示した過去のデータがあるにもかかわらず、脳卒中のリスクを持つ心房細動患者の治療にアスピリンを処方している率の高さは注目すべきです」と研究者は書いている。

ミルウォーキーにあるメアリー病院の心臓専門医であるサミュエル・ワン博士は、ピナクル・レジストリは意欲の高い患者と心臓専門医が含まれているので、この結果は特に興味がある、と語っている。ワン博士はこの研究に関する出版物の共同執筆である。

「アスピリンは抗凝血薬ではないという信頼できる根拠があり、心房細動による脳卒中を予防しません」と博士はMedPage Todayに語っている。「以前はそう思っていたかもしれませんが、今ではそんなことはありません」。

この研究には、2008年から2012年のピナクル・レジストリに登録した、中等度から高度の血栓塞栓症リスクを持つ心房細動の外来患者に関する2つのコーホートが含まれている。

そのうちひとつのコーホートは抗血栓症治療でCHADS2 スコア ≥2の約21万400人の患者で、38.2パーセントはアスピリンのみ、61.8パーセントはワルファリンまたは非ビタミンK拮抗経口抗凝血薬で治療を受けていた。もうひとつのコーホートはCHA2DS 2-VAScスコア≥2の約30万人の患者で、アスピリン単剤での治療は40.2パーセント、経口抗凝血薬で治療を受けている患者は59.8パーセントであった。

多変量補正した後、高血圧、脂質異常症、冠動脈疾患、心臓発作の既往歴、不安定および安定性狭心症、最近冠動脈バイパス移植を行なった人、抹消動脈疾患のある人は、全員アスピリン処方率の高さと関係していた。

男性、肥満度指数の高い人、心臓発作/一過性脳虚血発作の既往歴のある人、塞栓症の既往歴のある人、うっ血性心不全の人が、より頻繁な経口抗凝血薬の処方と関連していた。

「(アスピリン処方)との関係性を特徴とする患者には冠動脈疾患と関連のある人も入っており、将来的な研究により知ることになるかもしれない知識格差の統一を含め、心房細動に対する適切な経口抗凝血薬の処方を改善する機会を強調しています」と研究者たちは書いている。

彼らの執筆の中で、ワン博士とセントメリー病院の同僚であるサンジェイ・デシュパンデ博士は、米国心臓病学会/米国心臓協会は依然として心臓発作リスクの低い患者(CHA2DS2-VASc ≤1)に対してアスピリン使用を勧める”中途半端なサポートを提供”しているが、欧州心臓病学会および英国のNICEなどのほかのガイドラインでは、心房細動に関連する血栓塞栓症の予防に対してもはやアスピリンを推奨していない、と彼らは自分たちの記事に書いている。

「このガイドラインの矛盾は抗凝血に対する正確な禁忌と関連しているとは思えませんが、しかし実質的に脳卒中の予防をしないとはいえ、明らかに出血のリスクのある患者にアスピリンを処方するという認識不足を反映していているかもしれません」と彼らは書いている。

心房細動に関連する脳卒中リスク減少に対してアスピリンでは効果不足であるという認識の高まりは、医者と患者の両方に必要である、と彼らは締めくくった。

「アスピリンを2錠服用して朝に医者連絡することは、血栓塞栓症のリスクを持つ心房細動患者の適切な治療ではありません」と彼らは書いている。「それは血栓が大きくなるだけです」。


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