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2012-02-09

ソース(記事原文):マイヘルス・ニュース・デイリー

抗がん剤によりアルツハイマー病が治療できる可能性

マイヘルス・ニュース・デイリー(2012年2月9日)― ジョーゼフ・ブラウンスタイン(Joseph Brownstein)著

抗がん剤で初期のアルツハイマー病を改善させることにマウスで成功したことが、新たな研究で示された。

このベキサロテンという抗がん剤は、脳内でアルツハイマー病の発症に最も密接に関わっているアミロイドβタンパク質の濃度を低下させるよう設計されている。

新たな研究により、ベキサロテンの治療を受けたマウスは、6時間以内にアミロイドβタンパク質濃度が25%低下したことが認められたが、重要なのはそれに伴う認知機能の改善が示されたことである。

「今回得られたデータから、初期段階のアルツハイマー病は回復可能な疾患である可能性が示唆される」と研究著者でケースウエスタンリザーブ大学医学部(Case Western Reserve School of Medicine)神経科学博士課程学生のペイジ・クレーマー(Paige Cramer)氏は述べている。

同研究者らはアルツハイマー病のマウスモデルを用いて、様々な用量のベキサロテンを投与した後、脳内アミロイドβタンパク質の濃度を測定し、学習の一種である迷路走行、営巣行動、嗅覚、恐怖条件づけにおけるマウスの能力を検査した。

「学習と記憶に関する数多くの様々な検査を行うとともに、同研究者らは各マウスへの影響を確認した」とメイン州バーハーバーのジャクソン研究所の副所長で研究者のマイケル・サスナ(Michael Sasner)氏は語った。

ベキサロテンは、皮膚T細胞リンパ腫(皮膚がんの一種)の治療にFDAから認可を得ているので、ヒトに対する投与の安全性が依然不明の薬剤よりも速やかに臨床試験へ進むことができると考えられる。

本研究はサイエンス(科学誌)2月10日号に掲載された。

アルツハイマー病を標的とする新たな方法

アルツハイマー病の先行研究における欠点は、認知機能改善の検査が1つか2つしか施行されなかった点にあるが、本研究ではそれが克服されている、と今回研究に関与しなかったサスナ氏は語った。

アミロイドβタンパク質を標的としたアルツハイマー病治療の試みは、ベキサロテンが初めてではない。しかし、先行研究では、アミロイドβタンパク質によって脳内に形成されたプラーク(老人斑)の除去が目的とされており、病気自体への影響は明らかにされていない。

研究者らによると、今回異なるのは、脳内に存在するアミロイドβタンパク質とその多様な形状について理解を深めた点である。今、研究者らはプラークを重視するというよりもむしろ、活動性の可溶型タンパク質がアルツハイマー病に作用すると考えている。

2アルツハイマー病の原因には様々な見方があるが、「現時点での有力な見方は、可溶型アミロイドβタンパク質が脳機能障害を引き起こすとするものである」とクレーマー氏は述べている。「プラークはアミロイドβタンパク質を集積する吸い込み点にすぎない」という。

ベキサロテンは、アポリポタンパク質Eという別のタンパク質の産生を促すことによって作用する。具体的にはアポリポタンパク質Eがアミロイドβタンパク質に結合すると脳からアミロイドβタンパク質が除去される。

クレーマー氏は「この論文はアポリポタンパク質Eがアルツハイマー病にどのように関与しているかのメカニズムにかなり役立つ」としている。

依然としてハードルは高い

マウスにおけるベキサロテンの有益性をヒトにも取り入れられるのかは、まだ確認されていない。

「FDA承認薬が使用されていることから、今回の科学の基礎的発見を病院に取り入れることが可能となる。それが我々の次の目標である」とクレーマー氏は話す。

もう1つの課題は、至適投与量を見つけ出すことである。1症例では、ベキサロテンの複数回投与は、1回投与よりも有効性が低いように思われることが明らかにされた。理由は体内で薬剤が分解されてしまうからだと考えられる、とクレーマー氏は語った。

同氏は、主任研究者ゲアリー・ランドレス(Gary Landreth)氏とともに、予備試験を年内に開始したいとしており、ヒトにおいてもβアミロイドタンパク質濃度に同じ変化がみられるのかを観察する予定である。成功すれば、臨床試験への移行となる。

ベキサロテンは現在ターグレチンという商品名で販売されている。同剤の特許は4月で消滅する。

サスナ氏は「この治療法をヒトにおいて証明する道のりは長いが、徹底的に追求するのは興味深いと考えている」としている。


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