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2011-06-06

ソース(記事原文):BBCニュース-ヘルス

皮膚がんの治療法が学会で明らかにされた

 

進行皮膚がん患者は、2つの新たな治療法により、より長く生きられる可能性のあることが、シカゴ開催のがん学会で発表された。

2011年6月6日

ベムラフェニブ(Vemurafenib)という薬は、化学療法よりも長い生存期間を患者にもたらす可能性が大きいと考えられる、と研究者らは述べている。

進行メラノーマ患者675人からなるグループを対象に同剤を検討した。

もう1つの薬は静脈内投与するものでイピリムマブと呼ばれ、患者に数年間の延命効果をもたらすと言われている。

この結果は、米国臨床腫瘍学会(American Society of Clinical Oncology :ASCO)の総会で発表された。

試験期間中、ベムラフェニブを1日2回投与した患者の84%が、6ヶ月後も生存し続けた。これに対し、標準的な化学療法では64%である。

同剤は、他の臓器へ転移した末期患者の半数に認められる欠陥遺伝子(BRAF)に作用することによって効き目を現す。

今回の結果は目覚しいもので、試験を実施中の英国の専門家らは、グループの全患者をベムラフェニブに切り替えるため、早期に試験を打ち切った。

同剤は、化学療法と比較して、疾患悪化のリスクを74%減少させることが試験で示された。

一方、もう1つの研究から得られた試験結果では、1サイクルのイピリムマブ静脈内投与が、進行メラノーマ患者の生存期間を延長する可能性が示されている。

「重大な進歩」

研究者らによれば、本来なら数週間から数ヶ月で死亡していた可能性のある患者が、数年間も生存した症例が複数あったという。少なくとも一人は、治療後5年経過しても生存し続けている。

ベムラフェニブがその他のがん(卵巣・甲状腺・腸がんなど)にも使用できるのかどうかについて明らかにするための研究が現在実施されている。

両治療法は、欧州医薬品審査所で現在評価中であり、承認が条件となるが数ヶ月以内に英国の患者で利用可能となるかもしれない。

ただし、何万ポンドもかかる割高な薬を使用するだけの余裕がNHS(イギリス国家健康保証制度)にあるのかどうかは明確でない。

がん研究所においてメラノーマにおけるBRAFの重要性を研究で明らかにしたリチャード・マレー(Richard Marais)教授は、「メラノーマの治療としては過去30年以上で最大の画期的躍進である」と述べた。

「今回の結果は、標的治療がメラノーマに効くことを初めて示すものであり、この疾患に対する今後の治療の取り組み方を変えるものとなる。この分野では重大な進歩といえる」

がん研究所の主任臨床医ピーター・ジョンソン(Peter Johnson)教授は、「メラノーマに対する有効な治療法が利用可能となるのは初めてのことである」と述べた。

「両治療法は、我々が行ってきた研究がどれほど患者に役立つものとなっているのかを示している」

「これは最初の第一段階にすぎないが極めて重要な一歩であり、最も危険なタイプの皮膚がん患者のために一層の努力を行うことを奨励ものである」

悪性黒色腫は、英国で毎年2,000人以上の命を奪い、年に11,000人以上がこの疾患を発症している。