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2007-03-27
ソース（記事原文）：BBCホライゾン
科学の到来......
加齢とともに誰にでも皺ができるようになる。そして皺を目立たなくすると力説する商品広告を目にしたことのない人はいない。しかし、その背後に潜む科学とは何なのか、そして実際に効果はあるのか？
ルール１。大げさな科学用語にすぐ感心しないこと。これは最も重要である。「この皮膚軟化剤は特別に作られたもので、常水と湿潤剤が配合されている」というフレーズを、非科学的用語で表すと「このローションとクリームには、水分と保湿剤が含まれている」となる。前者ほど文の響きは良くないが、基本的には同じことである。
経験に基づくルール２。何となく話が出来過ぎているように感じた場合、その直感は信頼できることが多いため、必ず細字部分を読むようにすること。商品名に「リフト」または「スリム」という用語が使われていることがあったとしても、それが本物のフェイスリフトである可能性や、モデル体形への近道である可能性は極めて低い。
事実、細字部分を読むとその商品には「身体のリフト効果は証明されていない」ことや、「大腿部や臀部周辺の問題となる部分を対象にデザインされているが、スリム効果は証明されていない」ことが記されているのに気づくことが多い。
セルライト(皮下脂肪塊)クリームまたはスリミング(痩身)クリームの広告の場合、その他の化粧品部門の広告と比べ、広告規制局(Advertising Standards Agency)により差し止められることが多い。商品による効果が本当に示されたのかどうかを判定するには、検証しなくてはならない。
いくつかの試験を調査したところ、複数の商品では、セルライトの減少または除去が全く証明されていなかった。別の商品では、わずかな効果が示されていたものの、普通の保湿剤で得られる程度のものにすぎなかった。
若さを保つため、本当に役立つ秘訣が初めてここに記される。極めてシンプルな商品が、時には有益な効果を生むということである。
科学的な裏づけ
皺の深さを測定することは現実的に可能である。元来はカーレース用のコースが平坦であることを確かめるために開発された技術を用いて、装置により発せられるバーコード型の光を目尻の皺に投影する。皮膚表面上のラインが曲がっているほど、皺が深いことになる。
驚くべきことに、特別な成分を全く含まない実に単純な保湿剤でさえ、瞬時に皺の深さを改善させる。これは難しい理論ではない。
水分が吸収されることで皮膚が膨らみ、一時的に皺のラインが薄くなる。だから、即時効果を提唱する高額商品にだまされてはいけない。通常の保湿剤であれば、どれでも同じ効果が得られる。
遺伝子はその他同様に皺とも関連が深いことが科学で示唆されている。自分の母親の笑い皺が深ければ、やがて自分もそうなるだろう。老化の進行を止めることはできないが、そのペースを落とすことはできる。
科学的に最も強く支持される老化防止商品は、余分なものが一切入っていない普通の日焼け止めクリームである。
英国皮膚研究機関(British Skin Foundation)のタマラ・グリフィス(Tamara Griffiths)博士は、「深い皺や、つやのない肌など、老け顔を形成する肌の変化の原因は、太陽への露出であるという極めて有力な科学的根拠がある」と述べている。
日焼け予防が、皺の予防に役立つことを示す証拠は十分揃っており、日焼け止めクリームの中のUVA(長波長紫外線)とUVB(短波長紫外線)防止成分は、「老化防止」と称するには十分である。
老化の進行を加速させる他の主な要因に、喫煙がある。太陽光と喫煙は、フリーラジカルと呼ばれる有害な分子を作り出し、皮膚の柔軟さや若さを保つコラーゲンを攻撃し、皮膚にダメージを与える。ダメージを受けたコラーゲンは皺の原因となる。
おとぎ話？
しかし、単に皺を予防するだけでなく、既にできた皺を永久的に目立たなくさせることを、誰もが心の底から望んでいる。つまり、皮膚に潤いを与えて膨らませ皺を伸ばすだけではないということである。しかし、加齢や太陽への露出によりダメージを受けた皮膚の弾性コラーゲン線維を回復させてくれるのは、聖杯だけだろう。
それでは皺を永久に目立たなくさせるというのは、おとぎ話なのだろうか。今回は違うようだ。にきび治療薬トレチノイン、すなわちレチノイン酸が最近の臨床試験で、太陽で痛んだ肌にできた細い皺のラインを目立たなくさせることが実際に示された。
数ヶ月間にわたり薬剤を塗布したボランティア参加者の腕から、皮膚生検を採取し顕微鏡分析を行ったところ、処方箋を要するトレチノインで治療した皮膚において、コラーゲンが増加したことが示された。しかし、この治療には、赤み・かゆみ・皮膚剥離など皮膚に不快な副作用を伴うことがあるので、処方箋がない限り受けられない。
では、普通の化粧用スキンクリームで同じような効果を得ることは可能だろうか？現在マンチェスター大学(University of Manchester)に勤務するクリス・グリフィス(Chris Griffiths)教授は、トレチノインの初期試験のいくつかに参加した。
同氏はつい最近、太陽によるダメージを受けた肌に関し同様の試験を実施するよう依頼された。ただし、今回は標準的な美容用保湿クリームが用いられた。研究チームが非常に驚いたのは、美容用クリームにも痛んだ肌を修復する機能がある可能性があることが判明したことである。
グリフィス氏は、化粧用クリームの効果がトレチノインほど劇的なものではなかった点や、試験は短期間にわたり少人数の集団で実施されたにすぎなかった点を強調している。
分類
その一方、「その他の皺取り化粧品が、皮膚生理機能や皮膚組織に対し、過去に行った評価よりも高い効果を持っていたとしても全く不思議はない。ただ、そうすると美容品と医薬品の境界が曖昧になる」と同氏は締めくくっている。
化粧品会社にとっては、そこが問題となる。ある商品には実際に痛んだ肌を治癒する効果があると証明された場合には、医薬品として分類される可能性がある。つまり、認可を取得する前に、何年にもわたり高額な費用のかかる試験を要することになる。
したがって、差し当たり、若さと美貌を維持したいならば、喫煙しないようにし、太陽の浴びすぎに注意すべきである。保湿剤で皺ができにくくなっていると考えられる場合は、もしかしたら美容品よりもほんの少しだけ高い効果があるのかもしれない。
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