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2013-06-04

ソース(記事原文):hpe.com

「肝癌」イコール「死」ではない

hpe.com(2013年6月4日)― ウィンストン・セーラム―エドワード・パチャサ(Edward Pachasa)さんは、1980年に腫瘍再発のため左の腎臓を失いました。そのため28年経ってから体の左側に痛みを感じたとき、おかしいと思いました。

「左側には何もないのに」。ハイポイント在住の彼は、あれこれ考えました。

何がどうなっているのかはっきりさせようとMRIを受けたところ、肝臓に腫瘍があることが分かりました。そして、ウェイク・フォレスト・バプティスト医療センター(Wake Forest Baptist Medical Center)の肝癌・膵癌外科医、ペリー・シェン先生(Dr. Perry Shen)に紹介されました。

シェン先生は当時81歳のパチャサさんに、消化や解毒、タンパク質合成に欠かせない臓器である肝臓の60%を手術で切除しなければならないと伝えました。

パチャサさんは、「こう言ったんだ、『先生、新しいゴルフクラブのセットを買ったばかりなんだ。10年保証が付いてるやつをね。先生がやろうとしている手術にも10年保証はあるんだろ?クラブをとことん使うつもりなんだからさ』」と、話してくれました。

「先生はちょっと考えてから、『5年じゃダメかな?』って。『それで手を打とう』って答えたよ」。

このやりとりがあったのは2008年12月です。パチャサさんは自分が幸運な人たちの部類に入ることを分かっています。腎臓を失い、肝臓の手術を受けただけでなく、昨年には新しい腫瘍が見つかり二度目の肝臓の手術を受けてもなお、生きているのですから。

まもなく86歳の誕生日を迎えるパチャサさんは健康で、生き生きとしており、肝臓も徐々に再生して機能が回復してきています。彼はゴルフをしたり、床に座って、自宅のリビングルームの半分を占める鉄道模型のセットを動かしたりしています。

「彼はかなり特別な患者です」。シェン先生はパチャサさんのことをこう言いました。「実際に逆境を乗り越えていますから」。

米国では、肝癌はがんの中でも罹患数で上位には入らないタイプです。米国がん協会(American Cancer Society)は、米国で今年新たに診断される症例は30,600件以上になると予想しています。比較として、罹患数上位の前立腺癌は238,000件以上になる見込みです。

しかし、肝癌はがんの中でも5年全生存率が最も低い部類に入り、15%程度しかありません。肝癌の患者のほとんどは肝硬変や肝炎などほかの肝障害も抱えているということが、この生存率の低さの理由の一つです。そのほか、治療を最も成功させられる外科手術や移植を行えば5年生存率はおよそ50%になりますが、これら選択肢が利用できるのは一部の症例のみということも要因となっています。

ウェイク・フォレスト・バプティストで複合一般外科腫瘍学フェローシップ(Complex General Surgical Oncology Fellowship)プログラムを指揮するシェン先生は、肝癌の症状は気付きにくいので診断される頃には腫瘍が大きくなりすぎていたり合併症が起きていたりして切除できないことが多い、と言います。手術が適応となるか評価する際は、腫瘍を切除したあと肝臓をどのくらい残せるかの判断がカギになります。

「十分な機能を残すには、少なくとも『正常な』肝臓の20~25%は必要です」。

肝癌は治療がとても難しいため、米国がん協会によれば臨床試験で新しい治療法を検討することによって多くの症例に優れた治療選択肢を提供できるかもしれないそうです。

ウェイク・フォレスト・バプティストは現在、そのような試験の一つに参加しています。肝臓への局所化学療法、つまりソラフェニブ併用の化学塞栓療法は肝癌患者の生存期間を延長できるのか調べるための試験です。

化学塞栓療法では、肝臓に血液を供給する鼠径部の動脈にカテーテルを入れて、比較的大量の化学療法剤を直接腫瘍に送り届けます。化学療法剤の後に注入される粒子状物質が血管を部分的に閉塞することで、血液供給を断ち腫瘍を餓えさせるのです。一方ソラフェニブは、体内にある癌細胞の増殖や転移を妨げる薬です。

「まず化学塞栓療法を実施し、患者の病勢が進行するまではソラフェニブ使用を控えるというよりも、これらを早期に併用すれば努力に見合う成果をもっと得られるのではと期待しています」。チャペルヒルにあるUNCラインバーガー総合がんセンター(UNC Lineberger Comprehensive Cancer Center)の消化器腫瘍専門家、バート・オニール先生(Dr. Bert O’Neil)はそう話しました。このセンターも、今回の全国的な試験に参加しています。

肝癌の事実

米国がん協会によれば、肝癌は米国よりもアフリカや東アジアの途上国のほうがはるかに一般的ですが、米国でもがんによる死亡原因のうち男性では第5位、女性では第9位です。

そのほか、肝癌に関する事実は以下のとおりです。

・米国では、2013年に肝癌と新たに診断される症例は30,640件、肝癌による死亡は21,670件になると予想されている。
・肝癌患者の5年生存率はおよそ15%。初期で見つかればこの数字は28%にもなる。
・男性の罹患率は女性の2倍以上である。
・肝癌と診断される年齢は平均62歳。症例の90%以上は45歳以降に診断されている。
・肝癌の原因は不明だが、危険因子として肝硬変(アルコール乱用が原因のことが多い)、B型またはC型肝炎ウイルスの慢性感染(どちらの型も肝硬変に至る)、2型糖尿病が挙げられる。肥満も危険因子である。


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