痛み止め(鎮痛・抗炎症) - このカテゴリーに関連するニュース・情報

下記の内容は、当サイトがWeb上の英語で書かれたニュースや記事を独自に訳したものであり、当サイトはその内容、翻訳の正確性に関して一切免責とさせて頂きます。この点をご理解の上、参考になさってください。また、この翻訳文の無断利用はお控え下さい。

2009-12-10

ソース(記事原文):サイエンスデイリー

腰痛治療への新しいアプローチ方法が公表される

サイエンスデイリー(2009年12月10日)
ある科学分野に基づくアプローチ法。それは複合的な原因を持つ疾患を分野の枠を超えて研究する方法である。ミシガン州立大学の研究員が、腰痛のメカニズム解明における新しい見方とその治療法を紹介している。アメリカ合衆国には4000万人以上の腰痛患者がおり、その治療に年数十億ドルの費用がかかっている。

ピーター・リーブス氏は、ミシガン州立大学オステオパシー外科学部研究員であり、現在システムサイエンスの観点から脊椎の研究を行っている。システムサイエンスは20世紀初頭に広まった分野である。その観点から脊椎の研究を進めていくと、脊髄のそれぞれの部位の働きのみならず、各々の働きが体全体に影響を及ぼす際の複雑なプロセスを解き明かすことが可能となる。

「システムサイエンスの魅力は、それぞれの研究結果を他の研究員達と共有し、その研究データを集積して脊椎のシステムの全体像を掴むことが可能になる点にある。そしてその全体像がつかめれば、より適切な腰痛の診断と治療を行うことができる」とリーブス氏は語った。

現在の治験方法における問題点は、還元主義的方法に偏る傾向にあることである。還元主義とは、疾患の要因を細かく分類し、それぞれを独立した要因として扱う考え方であるとリーブス氏は続けた。

先日、リーブス氏は、豪州のブリズベンで開かれた国際腰痛シンポジウムにて自身が行っている研究を発表した。このシンポジウムには世界各国から12人ほどの脊椎研究の権威が集結し、それぞれの異なる腰痛の対処法や脊髄調整の方法に関し討論を繰り広げた。

このシンポジウムにて、腰痛に関し医学会や研究学会内にて用いられる共通認識を築き上げようとの試みから、参加者が、各々が携わっている腰痛の研究やその対処法のモデルを発表する一幕があった。

リーブス氏は「システムサイエンスに基づく観点から対処法を考えれば、今まで解かれることのなかった問題を解明する糸口が見つかる可能性がある。そのためには先ずこのアイディアを公表する必要がある。そうすることによって脊髄研究学会内において腰痛に関する共通認識も得られるだろう」と述べた。
リーブス氏は、ジャセク・コレビッキ氏と共にこのシンポジウムに参加した。コレビッキ氏もミシガン州立大学オステオパシー外科学部に勤務しており、このシンポジウムの開催に助力した人物である。更に、リーブス氏は、ミシガン州立大学工学部の研究員とも密に連携し、システムサイエンスに基づく腰痛対処法を試験するための機器を開発している。

リーブス氏によれば、腰痛の研究を進めるためにはシステムサイエンスが必要不可欠なのだそうだ。
「腰痛研究は今、重要な岐路に立たされている」と同氏は言う。
彼は現在、ミシガン州立大学にて脊椎システムサイエンスセンターの設立に現在携わっている。このセンターには世界各国から優秀な研究員が招かれる予定である。「解明すべき問題が山積している。それらに対処するには、まず適切な枠組みが必要である」とリーブス氏は述べた。

現在、リーブス氏と同氏の同僚は、システムサイエンス法を開発中である。この方法は、生命活動の無い検体から採取された脊椎のデータや生命活動中に脊椎が担う筋系制御に関する実験データを集積するために用いられる。その方法が開発された後に、脊椎が一つの完成したシステムであると定義づける。その結果、如何なる不具合に対する脊椎システムの反応も事前に予測する事、そして様々な障害(変性椎間板疾患や腰痛持ちの人によくみられる筋消耗等)に対する脊椎の反応をみる事が可能となる。

脊椎の構造は極めて複雑である。その全体像を捉えることなくそれに関連する疾患の症状を完全に理解することは不可能である」とリーブス氏は述べた。「今、君が飛行機を組み立てているとしよう。飛行機の全体像を捉えて各部品がどの様に他の部品と連携するかを考えずに、そのパーツを各々が完成した一つの物として考え飛行機を設計することは不可能であるだろうし、また危険でもある。脊椎にも同じことが言える」

リーブス氏、コレビッキ氏、そしてアシスタント研究員であるアンジェラ・リー氏はランシング所在のインガムリージョナルメディカルセンター内のミシガン州立大学整形外科センターにて行われる実験の参加者を募集している。参加資格は、34歳から65歳であること及び2カ月以上腰痛を患っており腰痛手術を受けたことのない人に与えられる。