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2014-03-12

ソース(記事原文):メディカル・エキスプレス

認知症リスクのある閉経後女性においてエストラジオールが重要な脳領域を保持

メディカル・エキスプレス(2014年3月12日) ― 認知症リスクの高い女性において、エストラジオールによるホルモン療法を閉経直後に開始すると、重要な脳領域の委縮が予防されることが、スタンフォード大学(Stanford University)医学部の研究者らが主導する新たな研究で示された。

商品名プレマリンで販売されている異なるホルモン療法では、こうした予防効果がはるかに乏しいことも明らかにされた。プレマリンは、妊娠中の雌馬から採取した尿由来の30種類以上からなる物質を調合したものである。女性における最も優勢な性ステロイドホルモンであるエストラジオールは、プレマリン全容量の約17%を占める。プレマリンの残りの成分は、様々な組織に対して多様な内分泌学的作用を発揮するものからなる。

今回の無作為化試験は、ホルモン療法の継続または中止が、脳代謝に与える影響を理解しようとしたものである。この結果は米科学誌プロス・ワン(PLOS ONE)3月12日号に掲載される。主著者であるスタンフォード大学の女性の健康に関する神経科学センター(Stanford Center for Neuroscience in Women's Health)責任者および精神医学・行動科学教授のナタリ・ラスゴン(Natalie Rasgon)博士によれば、認知症リスクのある女性に対するホルモン療法の神経学的効果は、その治療開始時期と、エストラジオールまたはプレマリンのどちらを使用するのかによって大いに左右されることが、今回の結果で示されている。

本研究者らは、記憶および遂行機能に関連する海馬内および周辺の脳領域を観察した。これらの領域は、軽度認知機能障害からアルツハイマー病まで多種類の認知症における代謝活性の悪化が一番早く出現する部位である。

閉経後1年以内にエストラジオール療法を開始していた女性が治療をそのまま継続すると、これらの脳領域のいくつかで代謝活性が保持された。これに対し、このホルモン療法を中止した女性では有意な悪化がみられた。

一方、プレマリンを継続使用した場合、これらの脳領域の一部における代謝低下が実質的に加速するように思われた。もう一つのホルモンであるプロゲスチン(基本的に合成プロゲステロン)を、エストラジオールまたはプレマリンのどちらかに加えると、エストラジオールの神経学的効果は消失し、プレマリンにみられた代謝低下は悪化した。

本試験は、直接的な認知機能検査で意味のある結果を得るには小規模すぎたが、画像所見で高レベルの統計的有意性を得るには十分な規模であった。

ラスゴン氏は「これらの脳領域における代謝性変化は、認知機能低下の顕著な症状に先駆けて起こるもので、何十年も前に始まる」としている。「まだ認知機能低下が起きていない女性における顕著な変化を見出しつつある」と補足した。おそらく、女性の間近に迫った認知症の徴候が早期に現れれば、エストラジオールによる治療で食い止められる可能性があると思われる。

国立精神衛生研究所(NIMH: National Institute of Mental Health)行動内分泌学部門の前責任者であるデイビッド・ラビナウ(David Rubinow)博士は「閉経後女性のホルモン療法について、論争とはいかないまでも、不確かと言える複数の要素に、本試験は取り組んでいる」としている。ノースカロライナ大学(University of North Carolina)チャペルヒル校の精神医学部教授で学部長のラビナウ氏は、本研究著者ではないものの、この分野に精通している。同氏によると、エストラジオールの多くの組織内に果たす保護的役割に関して、今回の結果は「実験室の培養皿や動物を用いた基礎研究で得られた多数の証拠と完全に一致している」という。

米国には45~55歳の女性が2,000万人以上おり、この年齢層の多くは、かつてプレマリンまたはその他のホルモン療法の対象者とみなされていた。現在では更年期症状を軽減する目的でホルモン療法の継続を選択する女性がいるのに対し、かつてはホルモン療法が閉経後女性を心疾患や骨粗鬆症および認知機能低下から保護するとして広範に使用されていた。1992年~2001年まで、プレマリンは米国で最も広範に処方される薬剤であった。ところが、10年前にいくつかの大規模多施設共同試験で否定的報告がされると、使用が激減した。

これらの試験の1つから2003年に導き出された結論は、プレンプロ(プレマリンとプロゲスチンの合剤)に無作為に割り付けられた65~79歳女性における認知症の発生率は、プラセボ投与患者よりも2倍高くなるというものであった。ただし、これらの先行研究と今回の新規研究では被験者間に大きな差が存在した。具体的には、先行研究の対象となった女性は、体内でエストロゲンが多量に産生されなくなってから、かなりの期間を経てホルモン治療を開始していた。もう一つの重要な差は、先行試験の実薬群に割り付けられた女性がプレンプロを投与されていたということである。この薬剤の成分であるプロゲスチンは、少なくとも認知症を起こしやすい女性の脳において代謝悪化を実質的に加速することが、新規研究で示されている。

今回の新規研究で、スタンフォード大学の研究者らは、数十人のサンフランシスコ湾岸地帯の女性を試験登録した。大半は60歳未満で身体強健な高学歴女性であった。全ての被験者は、最後の月経周期から1年以内にホルモン療法を開始していた。また、全員とも認知症リスクが高かった。その理由として、大うつ病の病歴を有すること、あるいはアルツハイマー病に罹患した一等親の父、母、兄弟姉妹がいたこと、もしくは悪評のあるApo4対立遺伝子(女性のアルツハイマー病リスクを大きく上昇させることで知られる遺伝子変異体)が陽性であったことのいずれかに該当した。

ポジトロンCTを用いた脳の初回画像検査を行った後、現行のホルモン療法を継続する群または中止する群のいずれかに被験者を無作為に割り付けた。

2年後、計45人(ホルモン療法を継続した28人と中止した17人)に、脳の画像検査を再度行った。試験開始時点と2年時点のPETスキャンを比較したところ、意志決定に不可欠な内側前頭前野の代謝活性は、ホルモン療法を継続した被験者で保持状態が優れていたことが明らかとなった。

しかし、それ以外の認知症を予測するいくつかの脳領域における代謝活性の変化は、ホルモン製剤によって異なった。特に、楔前部/後帯状皮質という特定領域における代謝低下により、認知症リスク患者における外見上分かるような認知症が、時には10年以上前から予測されることが実証されており、エストラジオール療法の中止でこの代謝活性がかなりの有害作用を被ったのに対し、同療法を継続した女性ではこの活性が極めて良好に保持されていた。しかしながら、プレマリンを継続した女性では、この領域における代謝活性の悪化速度が遅くなることはなかった。どちらか一方の療法にプロゲステロンを併用すると、状態はさらに悪化した。

ラスゴン氏は「この種のエストロゲン療法が脳に異なる影響を与えるとは予想していなかった」と述べている。「なお、エストラジオールが身体に及ぼす影響は、全く無害とは言えない。例えば、ホルモン投与は、乳癌や子宮癌のリスクを上昇させる。認知症のリスク因子を有する閉経期前後の女性は、エストラジオールをベースとしたホルモン療法が合理的かどうか、担当医と相談するべきである」

認知症リスクのない閉経後女性の大規模集団において、これらの結果が再現されれば、エストラジオールをベースとしたホルモン療法が、脳の老化を最適な状態に維持するための第一選択薬として、より広範囲に使用される可能性がある、と同氏は述べている。


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